2010年3月8日月曜日

パーキンソン病

エレイソン・コメンツ 第138回 (2010年3月6日)

その類いの事を選んで観察する人たちがある日ウィリアムソン司教の片手が震えるのに気づきました.いらい数年間,司教はパーキンソン病に罹(かか)ったのではないかという噂が流れてきました.最近その噂が以前にも増して強まっていました.検査を受けさせた方がよいということになり,二週間前,司教はロンドンの神経科医の診察を正式に受けました.医師の診断結果は,いくつかの症候があるが,とりわけ両腕の筋肉を比べると左右でほとんど差が見られないこと,腕を動かすと震えが起こるが,パーキンソン病と違い腕を静止した状態では震えが起きないというものでした.神経科医はパーキンソン病の可能性はないとした上で,この症候はむしろ良性の本態性振戦によるものであるとの診断を下しました.(言い換えれば,片手が震えるのは司教が「震え病」持ちであることを示すというわけです.医師の診断とはなんと人の心を安心させてくれるものなのでしょうか!)

しかし,誰もこのニュースに失望してはなりません.司教の言うことを本気に受け取らなくても済む数多くの方法から好きなものを選べばいいでしょう.そのいくつかは実際に司教の敵から出てきたものです!--

彼はバラ十字会員( “Rosicrucian” )である(邪悪な秘密結社の会員であるということは,十字架の上に英国のバラを表示している司教武具によって証明されている).(訳注・「司教武具」…司教の紋章.英語で“episcopal arms”.それぞれの司教ごとに特定の意味の印や絵柄を施した帽子・盾・剣が表示される.ウィリアムソン司教の紋章には盾の一部に,白十字の上に赤いバラが重ねられた絵柄( “Rose of England on a Cross” )が表示されている.)

彼は常に一風変わった見解を持ってきた(例えば,9・11事件=米同時多発テロ=は「内部犯行」だったという見解).

彼はウランのような人物だ.個人の所有物にし難いが,かといって路傍にも捨てがたい(最後の一言はいいね!).

彼はいろんな考えを頭に入れると,それに取りつかれたようになり,大げさに誇張する(例えば,彼は自分の言うことを信じ込んでいる).

彼はフェビアン社会主義者である(英国のたちの悪いイデオロギー的左翼人のこと).

彼は芸術家であって学者ではない(そうですねえ,まあ少なくとも「学者ではない」という部分はあたっているでしょう).

彼は虚実にかかわる深刻な問題について公に発言する,「ナンセンス」.

彼の発言が少ないほど聖ピオ十世会はうまくいく(なんてことを( “oh dear” ),発言するのが彼の商売ですよ!).

彼は理想家だ(イマヌエル・カントの信奉者だ -- これは驚いた!).

彼は年を取ってきて,もうすぐ70歳になる(これは本当です!-- 正確には2日後=3月8日=にです).

彼は英国国教会からの不出来な改宗者である(これも本当です -- 彼は大いに改宗する必要があります).

彼は生きた手榴弾で,爆発する時を待っているのだが,いつ投げるかが難しい(おやまあ,投げてみたらどうでしょう!( “oh, come now!” ) -- ちょっと頑張ればできるんじゃないでしょうか?).

これらすべての発言を聞くと,私は18世紀のプロイセン王国フリードリヒ大王の人生におけるあるエピソードを思い出します.ある日,大王が王国内のある町を訪れたとき風刺的に描写された自分の肖像画が高い木にかけられていました.大王がそれに気づいたとき,同行していた廷臣たちは大王がどんな反応を示すかと恐怖に恐れおののきました.ところが,王は「皆の者がよく見えるようあの絵をもっと低い位置まで下げよ」と命じたのです.

キリエ・エレイソン.

英国ロンドンにて.
リチャード・ウィリアムソン司教