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2016年6月4日土曜日

464 見捨てられた教会? 6/4

エレイソン・コメンツ 第464回 (2016年6月4日)

絶望のどん底にあっては, 
詩篇作者が救いを示してくれます.神を信じ,祈りなさい. 
In circumstances of wholesale despair 
The Psalmist teaches, trust in God, and prayer.

今日,私たちの周囲のほとんどすべての物事や人々の混乱状態が日増しに深まり,教会内部ではすべての人々がいがみ合っているように見えます.だが,そのような中で,おそらく3千年も前に詩篇作者が,同じように神の敵(かたき・てき)の迫害に苦しむ人々を救ってくださるよう神に懇願(こんがん)したことを知れば,私たちは心強く感じるに違いありません.今と同じように当時,神の敵は傲慢(ごうまん)にも神に立ち向かい,その傲慢さは「日増しに増大し続け」,彼らはあらゆることをして神の神殿,その宗教を破壊し,神は彼らが大いに成功することを許されました.以下に紹介するのは詩篇・第73篇(邦訳聖書〈フェデリコ・バルバロ神父訳・講談社出版〉第74篇)です.最小限の注釈をイタリックで加えてあります.
As day by day the chaos increases in almost everything and everybody around us, and inside the Church it seems as though everybody is against everybody, it is certainly reassuring to find that the Psalmist of maybe 3,000 years ago cried out to God to come to the aid of his people, in similar distress from his enemies. Then as now they rose up in their pride against him, their pride “ascends continually”, they have done their best to wreck his Temple and his religion, and he has allowed them much success. Here is Psalm 73 (74), with minimal notes of explanation in italics:--

A. 神は敵が御自身とその教会に勝つのをどのようにお許しになられたのでしょうか?

(1)ああ神よ,御身はなぜ我らを終局にいたるまで見捨てられたのでしょうか? 御身は,なぜ御身の牧場に群れる羊たちへの怒りに火をつけられたのでしょうか?  (2)御身が初めから保持されてきた御身の聖会(公教会/カトリック教会)( "Thy congregation (Catholic Church) " )訳注3・1=〈御身の=神の〉信徒会・聖会〈=公教会/カトリック教会 〉・修道会を思い起こしてください.御身が御救いになった遺産の王笏(おうしゃく= "sceptre" )(訳注3・2),すなわち,御身が御住まいになったシオンの山(公教会/カトリック教会)を思い起こしてください. (3)彼ら(神の敵たち )に対し最後にいたるまで御身の御手を持ち上げてください.敵が(神の)聖域(=至聖所)で行った悪辣(あくらつ)なことをご覧になってください. (4)御身を嫌う彼らは,御身の尊厳を無視して自分たちの行いを自慢しました.彼らは自分たちの旗を自らのシンボルとして掲(かか)げました. (5)彼らは出口でも最上段(神殿の諸々の門〈扉〉と高嶺の極み〈たかね の きわみ〉)( "Temple gates and summit" ) でも(神の神聖さ )( "the holiness of God"  )など知ろうとしませんでした.斧〈おの〉で森の木を切るように, (6)彼らはただちに神殿の諸々の門(扉)を斧と鉈(なた)で割り(第二バチカン公会議),神殿そのものを倒しました. (7)彼らは御身の聖域(=至聖所 "Thy sanctuary" )に放火し,この世における(地上の)御身の御名の住み家(公教会/カトリック教会)を汚(けが)しました. (8)彼らは同類たちと一緒に,地上のあらゆる祝日(公教会/カトリック教会典礼)を廃止しようと心の中で叫びました.(9)以来我らの諸々の証印(シンボル "signs" )は姿を消しました.今では預言者もいません.そして,神はもはや我らのことなど知ろうとなされません(神は諦〈あきら〉めてしまわれ,我らは独力で生きなければならない状態に置かれています ). (10)ああ神よ,敵はいつまで恥辱〈ちじょく〉行為を続けるのでしょうか? 敵は御身の御名に永遠に挑(いど)み続けるのでしょうか? (11)御身はなぜ手を引かれるのでしょうか? なぜ御身は右手をいつまでも引き込めたままでおられるのでしょうか?

A. How can God be allowing the triumph of His enemies against His own Church ? 

[1] O God, why hast Thou cast us off unto the end: why is Thy wrath enkindled against the sheep of Thy pasture? [2] Remember Thy congregation (Catholic Church), which Thou hast possessed from the beginning. The sceptre of Thy inheritance which Thou hast redeemed: Mount Sion (Catholic Church) in which Thou hast dwelt. [3] Lift up Thy hands against their (God's enemies) pride unto the end; see what things the enemy hath done wickedly in the sanctuary. [4] And they that hate Thee have made their boasts, in the midst of Thy solemnity. They have set up their ensigns for signs, [5] and they knew not (the holiness of God) both in the going out and on the highest top ( Temple gates and summit). As with axes in a wood of trees, [6] they have cut down at once the gates thereof, with axe and hatchet (Vatican II) they have brought it down. [7] They have set fire to Thy sanctuary: they have defiled the dwelling place of Thy name (Catholic Church) on the earth. [8] They said in their heart, the whole kindred of them together: Let us abolish all the festival days of God (Catholic liturgy) from the land. [9] Our signs we have not seen, there is now no prophet: and He will know us no more (God has given up. We are on our own.) [10] How long, O God, shall the enemy reproach: is the adversary to provoke thy name for ever ? [11] Why dost thou turn away Thy hand: and Thy right hand out of the midst of thy bosom for ever?

B. だが,神は救い,歴史,万物の主です.

(12)だが,神は古代以前から我らの王です.神はこの世での救いを引き受けてこられました.(13)御身(=神)は御身の御力で海をなだめられました(紅海横断 ),御身はドラゴン(エジプト人たち )を海に沈められました.(14)御身はドラゴンの頭(エジプト王)をお壊しになられました.御身は彼を肉としてエチオピア人の民に与えられました.(15)御身は泉や川を壊されました.御身はイーサン(「イーサンの川」=「激流」(の川)を意味する.たとえば旧約聖書・ヨシュアの書:第3章を参照)の川( "the Ethan rivers" ) を枯らしました.(訳注後記 B-1)(訳注後記 B-2 )(訳注後記 B-3) . (16)御身は昼であられ夜であられます.御身は朝の光と太陽をお造りになりました.(17)御身はこの世のあらゆる境界を造られました.夏,春は御身の創造物です.(訳注後記 B-4)

B. But God is the Master of salvation, of history and of all Nature. 

[12] But God is our king before ages: he hath wrought salvation in the midst of the earth. [13] Thou by Thy strength didst make the sea (Red Sea crossing) firm: Thou didst crush the heads of the dragons (Egyptians) in the waters. [14] Thou hast broken the heads of the dragon (Egyptian king) : thou hast given him to be meat for the people of the Ethiopians. [15] Thou hast broken up the fountains and the torrents: Thou hast dried up the Ethan (running strongly, e.g. Jos. III) rivers. [16] Thine is the day, and Thine is the night: Thou hast made the morning light and the sun. [17] Thou hast made all the borders of the earth: the summer and the spring were formed by Thee.


C. ああ神よ,御身の貧しい民を御忘れにならないでください.そして,御身の傲慢な敵を倒してください.

(18)このことを思い起こしてください.敵は主を咎(とが)め,愚かな民は御身の名声に挑みました.(19)御身に懺悔(ざんげ)する者たちを獣(けだもの)に落とし込まないでください.そして,御身の貧しい民たちの魂を最後まで忘れないでください.(20)御身の御約束(新約聖書 )に御配慮ください.この世でおぼつかない魂が邪悪の住み家にあふれているからです.(21)貧しい民たちを追い払って困らせないでください.貧しき民,愛に飢えた民は御身の御名を讃えるでしょう.(22)ああ神よ,立ち上がり,御身御自身への訴えを御裁きください.御身の叱責から愚かな民が御身の体面(面目)を傷つけてきたことを(訳注5・1・「愚かな民が御身の体面(面目)を傷つけてきたことを」=「神を名誉を汚〈けが〉す・神に恥をかかせる・神の名誉を辱しめる・神の価値を低める」などの意味.)思い起こしてください.(23)御身の敵どもの声を御忘れにならないでください.御身を憎む彼らの傲慢さは日増しに増大します.

C. O God, forget not your own humble people, and crush your proud enemies. 

[18] Remember this, the enemy hath reproached the Lord: and a foolish people hath provoked Thy name. [19] Deliver not up to beasts the souls that confess to Thee: and forget not to the end the souls of Thy poor. [20] Have regard to Thy covenant (New Testament) : for they that are the obscure of the earth have been filled with dwellings of iniquity. [21] Let not the humble be turned away with confusion: the poor and needy shall praise Thy name. [22] Arise, O God, judge thy own cause: remember Thy reproaches with which the foolish man hath reproached Thee all the day. [23] Forget not the voices of Thy enemies: the pride of them that hate Thee ascendeth continually.

キリエ・エレイソン.

リチャード・ウィリアムソン司教




* * *


第4パラグラフ( B. (訳注)(「アルノン川」と「ヨルダン川」=「イーサンの川」=激流の大河.)


訳注B-1 … 荒野の書:第21章13節

→「アルノン川」=死海に入る川でヨルダン川に次ぐ大きさである.


訳注B-2 … ヨシュアの書:第3章

→(説明)エジプトを脱出したイスラエルの民は40年間荒野を放浪した末,神の御計画で,前任の預言者モーゼの後を継いだヌンの子ヨシュアの指揮によってカナンの地に入る.

第3章では,「全地の支配者なる主」の「聖櫃(せいひつ)(=〈訳注〉神と〈預言者モーゼを代表する〉イスラエルの民との間で交わされた)契約』の箱(櫃)」)」(ヨシュアの書:第3章13節)を運ぶ祭司たちがイスラエルの民の先頭に立って,ヨルダン川の水に足をつける場面.

祭司たちがヨルダン川の水に足をつけると水は分かれて一かたまりになって止まり,民は乾いた所を渡ることが出来た.これは神なる主が起こされた不思議(奇跡)である.

「契約の櫃」を運ぶ祭司たちは,すべての民がヨルダン川を渡りきるまで,ヨルダン川の中央の乾いたところにじっと足を止め,そこを動かなかった.(後述を参照)


訳注B-3 … ヨシュアの書:第3章15節,16節,17節.

15 (契約の)櫃(ひつ)を運ぶ人々がヨルダン川に着き,祭司たちの足が水に触れると―― * ヨルダン川は刈り入れどきの間ずっと岸からあふれ出るほどの水があった――

16 水は止まった.川上から流れてくる水はアダムからザルタンの城壁にわたる広い地域に一かたまりになった止まり,アラバの海,つまり塩の海に入る水は流れ終わった.民はイェリコ(これから主なる神がイスラエルに与えようとされる都市の名)に向かう地点から川を渡った.

17 契約の櫃を運ぶ祭司たちは,ヨルダン川の中央の乾いたところにじっと足を止めた.イスラエルの民一同は乾いたところを渡りはじめ,民がすべてヨルダン川を渡りきるまで,祭司たちはそこを動かなかった.』


(注釈)

 「ヨルダン川を渡る」

15. 大麦刈り入れのころ(三 (3),四 (4) 月),ニサンの月にヘルモン山の雪がとけてヨルダン川がよく氾濫(はんらん)した.
歴史を見ると大なだれがあってこの川の流れが止まったことや道を変えたことがあった.
一二六七 (1267) 年,一九二七 (1927) 年にもそういうことがあった.
神はそういう自然現象を利用されたのかもしれぬ.


訳注B-4 … ヨシュアの書:第4章


詩篇第73(74)篇(日本語)
PSALMUS 73 (latina)

1.『*アサフの歌. 神よ,なぜいつまでもわれらを見捨て, あなたの牧場の羊に怒りを燃やされるのか.
Intellectus Asaph. Ut quid Deus repulisti in finem: iratus est furor tuus super oves pascuæ tuæ? 

2. 昔,あなたが買われた民を, 買いもどされた遺産の民を, 住まいと定められたこのシオンの山をかえりみ,
Memor esto congregationis tuæ, quam possedisti ab initio. Redemisti virgam hereditatis tuæ: mons Sion, in quo habitasti in eo. 

3. 限りなきこの廃墟に御足(おんあし)を向けたまえ. 敵は聖所のすべてを略奪し,
Leva manus tuas in superbias eorum in finem: quanta malignatus est inimicus in sancto!

4. 集会のところでほえ, 自分のしるしをそこにかかげた.
Et gloriati sunt qui oderunt te: in medio solemnitatis tuæ. Posuerunt signa sua, signa:

5. それは深い森に, おのを打ち下ろすに似ていた.
et non cognoverunt sicut in exitu super summum. Quasi in silva lignorum securibus

6. 突如,神殿を まさかりと槌で打ち砕き,
exciderunt ianuas eius in idipsum: in securi, et ascia deiecerunt eam.

7. 聖所に火をつけ, み名の住まいを地まで汚(けが)し
Incenderunt igni Sanctuarium tuum: in terra polluerunt tabernaculum nominis tui.

8. 心のなかで,「一まとめにして滅ぼそう」と言いながら, 国内の礼拝所をみな焼き払った.
Dixerunt in corde suo cognatio eorum simul: quiescere faciamus omnes dies festos Dei a terra.

9. われらのしるしはもう見えず, 預言者ももういない. * それがいつまで続くのか,われらのうちに知る者はない.
Signa nostra non vidimus, iam non est propheta: et nos non cognoscet amplius. 

10. 神よ,仇はいつまで冒涜のことばを吐き, 敵はいつまでみ名をののしるのか.
Usquequo Deus improperabit inimicus: irritat adversarius nomen tuum in finem? 

11. なぜ,あなたは手を引き, 右の手をふところに隠されたのか.
Ut quid avertis manum tuam, et dexteram tuam, de medio sinu tuo in finem?

12. だが,神は昔から私の王であり, 地の中で救いを行われ,
Deus autem rex noster ante sæcula: operatus est salutem in medio terræ.

13. そのみ力で海を分け, 水の上の竜の頭を砕き,
Tu confirmasti in virtute tua mare: contribulasti capita draconum in aquis.

14.*レビアタンの頭を割り, *海の大魚のえさとし,
Tu confregisti capita draconis: dedisti eum escam populis Æthiopum. 

15.*泉とせせらぎを開き, 尽きざる水の川を干上がらせたもうた.
Tu dirupisti fontes, et torrentes: tu siccasti fluvios Ethan.

16. 昼も,夜も,あなたのものである. 月も太陽もあなたが備え,
Tuus est dies, et tua est nox: tu fabricatus es auroram et solem.

17. 地の堺を定め, 夏と冬をつくられた.
Tu fecisti omnes terminos terræ: æstatem et ver tu plasmasti ea.

18. 思いたまえ主よ,敵はあなたをののしり, 愚かなある民はみ名をのろった.
Memor esto huius, inimicus improperavit Domino: et populus insipiens incitavit nomen tuum.

19. あなたの山ばとの命を,はげたかに渡さず, あなたの小さな者の命を,いつまでも忘れ去らず,
Ne tradas bestiis animas confitentes tibi, et animas pauperum tuorum ne obliviscaris in finem.

20. 契約を思い出したまえ,秤(はかり)は満ち, 地の穴は暴力の住まいとなった.
Respice in testamentum tuum: quia repleti sunt, qui obscurati sunt terræ domibus iniquitatum.

21. しいたげられる者が,辱められたままもどらぬように, 貧しい者,不幸な者にみ名をたたえさせよ.
Ne avertatur humilis factus confusus: pauper et inops laudabunt nomen tuum. 

22. 神よ,立ってあなたへの訴えを守り, 日々あなたをののしる愚か者を記憶し,
Exurge Deus, iudica causam tuam: memor esto improperiorum tuorum, eorum quæ ab insipiente sunt tota die.

23. 敵の叫びを, たえまなく高まる仇の騒ぎを忘れたもうな.
Ne obliviscaris voces inimicorum tuorum: superbia eorum, qui te oderunt, ascendit semper.


 (注釈)

神殿略奪後の嘆き

1. タルグムによると,22節の「愚か者」は神殿の門を焼き(マカバイ上4・38,同下1・8),聖所を汚し(同上1・23,39,同下6・5),狂気の王と呼ばれたアンティオコ・エピファネ王を指す.
しかしこの時はカルデア軍の神殿略奪を歌ったともとれる(歴王下25・9,イザヤ64・10).
このとき以来預言者は声をひそめた(9節).

9. エレミア(25・11,29・10)は七十年の流謫(るたく)を告げていた.
七十年とは長い年月をさす象徴的な数である.

14. 伝説的な海の怪魚(イザヤ27・1,ヨブ3・8). 

* ここは紅海を渡ったこと(脱出14・30),エジプト人の敗北を語る.

15. 脱出(17・1-7)の奇跡を暗示する(ヨシュア3章).

19. ホゼアはイスラエルを雌バトにたとえた.





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邦訳文及び訳注の校正を続けます.











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本投稿記事・第464回エレイソン・コメンツ「見捨てられた教会」(2016年6月4日付)/ELEISON COMMENTS CDLXIV (June 4, 2016) : "CHURCH ABANDONED?" は2016年12月17日24時27分に掲載されました.
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2014年8月30日土曜日

372 モーゼの説明 8/30

エレイソン・コメンツ 第372回 (2014年8月30日)

     現在ガザで進行中の(げんざい がざで しんこう ちゅう の)狂気について掘り下げた説明が欲しいと(きょうき について ほりさげた せつめいが ほしい と)思っているカトリック教徒は(おもって いる かとりっく きょうと は)旧約聖書にあるモーゼの言葉を読むと(きゅうやく せいしょに ある もーぜの ことばを よむと)いいでしょう( "If any Catholic seeks an in-depth explanation of the on-going madness in Gaza, he should read Moses in the Old Testament." ).たとえば,古代イスラエル人が(こだい いすらえる じんが)神の戒律(訳注後記1-1)を守らないとき(かみの かいりつを まもらないとき)多くの呪いを受ける(おおくの のろいを うける)ことになるが,その中(なか)でも彼(かれ)らはとりわけ「心の狂気,失明,激怒」(「こころの きょうき,しつめい,げきど」)( “madness and blindness and fury of mind” )に襲(おそ)われる(旧約聖書・第二法の書(申命):第28章28節)ことになります( "For instance, if the Israelites do not keep the commandments of God, they will be stricken with “madness and blindness and fury of mind” (Deut. XXVIII, 28), among many other curses." )(訳注後記1-2).メインビエーリェ神父(Fr Meinvielle)が述べた(めいんびえーりぇ しんぷが のべた)ように,ユダヤ人は聖書に基づく人種(ゆだやじんは せいしょに もとづく じんしゅ)であり( "As Fr Meinvielle said, the Jews are a theological race, …" ),その神学的な宿命から逃れる(しんがく てきな しゅくめい から のがれる)ことはできません ― ( "… and they cannot escape their theological destiny – …" ).彼らは現世の他の人々とは違い(かれらは げんせの ほかの ひとびと とは ちがい)神に固く結びついて(かみに かたく むすびついて)いるのです( "… they are bound to God like no other people on earth." ).

     旧約聖書の(きゅうやく せいしょの)第二法の書(申命)(だいに ほうの しょ〈しんめい〉)( "Deuteronomy" 〈 ラテン語で "Deuteronomium" 〉)の中で,モーゼは(もーぜ は)古代イスラエル人たちに対し(こだい いすらえるじん たちに たいし)最後の厳粛な命令を与えます(さいごの げんしゅくな めいれいを あたえます).それは,イスラエル人(いすらえる じん)たちが約束の地に入る前(やくそくの ちに はいるまえ),モーゼが亡くなる前(もーぜが なくなる まえ)のことです( "In Deuteronomy Moses is giving to the Israelites their last solemn instructions before they enter the Promised Land, and before he dies." )(訳注後記2-1).モーゼは第二法の書第28章(レビの書:第26章に併記)(だいに ほう の しょ だい にじゅうはち しょう〈れびの しょ:だい にじゅうろく しょう に へいき〉)で,旧約聖書の神で新約聖書の神とも同じヤーウェ(Yahweh)(きゅうやく せいしょの かみで しんやく せいしょの かみ とも おなじ やーうぇ)の心の内を次のように明確に記し(こころの うちを つぎの ように めいかくに しるし)ています( "In Chapter 28 (parallelled by Levit. XXVI) Moses makes very clear the mind of Jehovah (or Yahweh), the God of the Old Testament, identical with the God of the New Testament: …" )(訳注後記2-2): ユダヤ人(ゆだや じん)たちは唯一真実の神に従うなら特別の祝福を受ける(ゆいいつ しんじつの かみに したがう なら とくべつの しゅくふくを うける)だろう(v. 1-14)( "… the Jews will be specially blessed (v.1-14) if they obey the one true God, …" ).神に従わないなら彼らは特別の呪いを受ける(かれらは とくべつの のろいを うける)だろう(v. 15-68)( "…they will be specially cursed (v. 15-68) if they disobey him." ).いずれにせよ,ユダヤ人は特別な民族(ゆだやじんはとくべつなみんぞく)で,唯一真実の神(ゆいいつ しんじつの かみ)について特別な知識を与え(とくべつな ちしきを あたえ)られており,その神(かみ)のために果たすべき特別な任務を帯びて(はたすべき とくべつな にんむを おびて)います( "Either way, they are a special race being given a special knowledge of the one true God for a special mission that they must fulfil for him, …" ).彼らがその任務をどう果たすかにより,神から特別な見返りか罰を受け(みかえりか ばつを うけ)ます( "… with a special reward or punishment from him, depending on how they fulfil that mission." ).  

     ユダヤ人たちが自(みずか)らを特別な人種(とくべつな じんしゅ)だと考(かんが)えるとしても何ら不思議(なんら ふしぎ)なことではありません!( "No wonder Jews think they are special ! " )モーゼが第二法の書の中(だいにほうの しょの なか)で神の彼らに対する祝福(しゅくふく)として挙(あ)げているものには以下(いか)のことが含(ふく)まれます( "Among the blessings listed here by Moses, …" ).神はユダヤ人たちを「他のあらゆる国民(こくみん)より高い」レベルに引き上げる(「ほかの あらゆる こくみんより たかい」レベルに ひきあげる)(V. 1)( "God will raise them “higher than all nations” (v.1); " ),「神御自身だけのための神聖な民族とする」(「かみ ごじしん だけの ための しんせいな みんぞくと する」)(v. 9)( " “to be a holy people unto himself” (v.9); " ),「尾ではなく頭」とする(「お ではなく あたま」とする)(v. 13)( "to be “the head and not the tail” (v.13). " ).だが以下に述べる通り(いかに のべる とおり),モーゼがこの三つの字句のなかで(もーぜが この みっつの じくの なかで),古代イスラエル人たちの優位性は彼らが神に忠誠かどうかで決まるとしている点に注目(こだい いすらえる じん たちの ゆういせいは かれらが かみに ちゅうせいか どうかで きまる としている てんに ちゅうもく)すべきです( "But in every one of these three verses it is noteworthy how Moses makes the Israelites' superiority depend on their obedience to God: …" ).すなわち彼らが「神の声を聴き神の戒律をすべて守るかどうか」(かれらが「かみの こえを きき かみの かいりつを すべて まもるか どうか」)(v. 1)( "… if they will “hear the voice of God and keep all his commandments” (v.1); …" ),「神の戒律に耳を傾け神の示された道を歩むかどうか」(「かみの かいりつに みみを かたむけ かみの しめされた みちを あゆむか どうか」)(v. 9)( "… if they “hear his commandments and walk in his ways” (v.9); …" ),「神の戒律に耳を傾け,それを守り実行するかどうか」(「かみの かいりつに みみを かたむけ,それを まもり じっこう するか どうか」)(v. 13)の3点(さんてん)です( "… if they will “hear the commandments of God and keep and do them” (v.13)." ).

     他方(たほう),古代イスラエル人たちが神に従わず(こだい いすらえる じん たちが かみに したがわず)(V 15),自ら定める条件で自らの民族的優位性を示そう(みずから さだめる じょうけんで みずからの みんぞく てき ゆういせいを しめそう)とすれば( "On the other hand if the Israelites try to be that superior nation on their own terms, disobeying God (v.15), …" ),多くの呪い(おおくの のろい)が身(み)にふりかかります(v. 16-69)( "… then a multitude of curses will come upon them (v.16-68), …" ).彼らは他のあらゆる民族(かれらは ほか〈た〉の あらゆる みんぞく)からさげすまれ,憎(にく)まれ,踏み(ふみ)にじられ( "… and they will be scorned, hated and trampled upon by all other nations: " ),「この世(よ)のあらゆる王国(おうこく)のあちこちに散り散り(ちりぢり)となるでしょう」(v. 28)( "…they will be “scattered throughout all the kingdoms of the earth” (v.28);.彼らは「心の狂気,失明,激怒(こころの きょうき,しつめい,げきど)」に襲(おそ)われるでしょう(v. 28 - ガザ(がざ)のことを考(かんが)えてみてください!)( "… they will be stricken with “madness and blindness and fury of mind” (v.28 – think of Gaza !); " ).彼らが共に住むよそ者(ともに すむ よそもの)が上(うえ)にのし上(あ)がり(rise up over)( "… the stranger with whom they live will “rise up over” them,,よそ者が頭になり彼らは尾になるでしょう(v. 43-44)( "… he will be the head and they will be the tail (v.43-44);.彼らの敵(てき)は彼らの首(かれらの くび)に鉄(てつ)のくびき(iron yoke)をかけるでしょう(v. 48)( "… their enemy will put an “iron yoke” upon their neck (v.48); " ).神は彼らにあらゆる苦悩を与える(くのうを あたえる)でしょう(v. 59-61)( "… the Lord God will afflict them with all kinds of sufferings (v.59-61), " ).そして,彼らは「自らが所有(みずから しょゆう)するために入った土地(はいった とち)から出て行(でて い)かなければならないでしょう」(v. 63)( "… and they will be “taken away from the land which they will go in to possess” (v.63). " ).彼らがこれらすべての苦痛を受ける(くつうを うける)のは神の掟の言葉(かみの おきての ことば)(the words of God’s law)を守らず実行しない(まもらず じっこうしない)からです(v. 58)( "And all of this they will suffer because of not keeping and fulfilling the words of God's law (v.58)." ).

     悲(かな)しいかな,偉大なモーゼ(いだいな もーぜ)が明(あき)らかにしたこれらすべての祝福と呪い(しゅくふくと のろい)は古代イスラエル人(こだい いすらえる じん)たちが,これもモーゼが預言(よげん)したように(第二法の書:第18章15-18節を参照)自分(じぶん)たちの救世主(きゅうせいしゅ),人の姿(ひとの すがた)をとられた神が出現(かみが しゅつげん)したとき,それを認(みと)めて,それに仕(つか)えるよう仕向(しむ)けるのに役立(やくだ)ったでしょうか?( "Alas, did all these blessings and curses announced by the great Moses avail to make the Israelites recognize and serve their Messiah and Incarnate God when he came, as also prophesied by Moses (Deut. XVIII, 15-18) ? " ) 決(けっ)して役立ちませんでした.そうする代(か)わりに彼らは自分たちの救世主を十字架(じゅうじか)にかけました( "No, they crucified him instead, …" ).このことが2千年近く(にせん ねん ちかく)にわたり彼らの頭上(かれらの ずじょう)にモーゼ(もーぜ)のあらゆる呪い(のろい)をもたらしているのです( "… which has for now nearly 2000 years brought down on their heads all of Moses' curses." ).彼らは自(みずか)らをこの世(よ)で最(もっと)もさげすまれ抑圧(よくあつ)された民族(みんぞく)に変(か)えました( "They made themselves into the most despised and downtrodden nation on earth, …" ).そして彼らは約束された地(やくそく された ち)への権利を失い(けんりを うしない)( "… and they lost their right to the Promised Land, …" ),そこから追い出(おいだ)され( "… being driven out and …" ),紀元70年(きげん なな〈しち〉じゅう ねん)のエルサレム破壊以来(えるされむ はかい いらい)いたるところに散り散り(ちりぢり)となりました( "… scattered everywhere else from the destruction of Jerusalem in 70 A.D." ).

     彼らが聖地パレスチナ(せいち ぱれすちな)の所有を取り戻す(しょゆうを とりもどす)ことは,この呪いから解放(のろいから かいほう)されることを意味(いみ)しません( "Nor does their regaining possession of the Holy Land mean that the curse is being lifted, …" ).なぜなら,彼(かれ)らはそのことを神の定める条件(かみの さだめる じょうけん)でなく自ら定める条件(みずから さだめる じょうけん)で行(おこな)っているからです( "… because they are doing it on their own terms and not on God's, …" ).したがって聖地の再所有(せいちの さい しょゆう)そのものが呪いの一部に変わり(のろいの いちぶに かわり)ます( "… so that the very re-possession turns into part of the curse." ).
(ぷらとん) "Plato" が述(の)べたように(対話篇 「〈弁論術〉ゴルギアス "Georgias" 」 の中で)(たいわへん 「〈べんろんじゅつ〉 ごるぎあす 」 のなかで)( "As Plato said (Georgias), …" ),不正を行う(ふせいを おこなう)より苦しみを受ける方(くるしみを うける ほう)がましで( "… it is better to suffer than to commit an injustice, …" ),したがって霊魂の世界(れいこんの せかい)における(=霊的〈れいてき〉な)現実(げんじつ)では( "… and therefore in spiritual reality, …" ),イスラエル人(いすらえる じん)たちはパレスチナ人(ぱれすちな じん)たちより同情(どうじょう)すべきなのでしょう( "… the Israelis are more to be pitied than the Palestininans." ).我慢(がまん)(=忍耐・堅忍〈にんたい・けんにん〉)が大切(たいせつ)です( "Patience." ).私たちは「すべて罪を犯し(つみを おかし),神の光栄が必要(かみの こうえいが ひつよう)です」(新約聖書(しんやく せいしょ)・使徒聖パウロ(しと せい ぱうろ)のローマ人(ろーま じん)への書簡(しょかん):第3章22-23節を参照).( "We “all have sinned and do need the glory of God” (Rom. III, 22-23)." ).

     キリエ・エレイソン.

     リチャード・ウィリアムソン司教





* * *


第1パラグラフの訳注1-1,1-2:

訳注1-1

「神の戒律」=「モーゼの律法」=「第二法の書(+レビの書)」=「十戒」


訳注1-2

旧約聖書・第二法の書(申命):第28章28節
Liber Deuteronomii/Deutéronome/Deuteronomio/Deuteronômio/Deuteronomy XXVIII, 28

『主は精神を錯乱させ,目を見えなくし,五官を狂わせることによっておまえたちを打ち,…』
(しゅは せいしんを さくらん させ,めを みえなくし,ごかんを くるわせる ことに よって おまえたちを うち,… )(日本語・にほんご)

"The Lord strike thee with madness and blindness and fury of mind." (Enlish)

"… o Senhor te ferirá com loucura, com cegueira, e com pasmo de coração." (portuguesa)

"Jehová te herirá con locura, ceguera y turbación de espíritu; …" (española)

"L'Éternel te frappera de délire, d'aveuglement, d'égarement d'esprit, …" (française)

"Percutiat te Dominus amentia et cæcitate ac furore mentis, …" (latina)


* * *


第2パラグラフの訳注2-1,訳注2-2:


訳注2-1

「第二法の書第28章(レビの書:第26章に併記)」

・モーゼは第二法の書第28章(レビの書〈Leviticus〉:第26章 Levit. XXVIに併記)で,旧約聖書の神で新約聖書の神とも同じヤーウェ(Yahweh)の心の内を次のように明確に記しています.

"In Chapter 28 (parallelled by Levit. XXVI) Moses makes very clear the mind of Jehovah (or Yahweh), the God of the Old Testament, identical with the God of the New Testament: …"

についての旧約聖書の引用…


訳注・2-2

①第二法の書〈Deuteronomy〉:第28章1-68,69節
②レビの書〈Leviticus〉:第26章1-46節


* * *


①第二法の書・第28章1-68,69節
Deuteronomii XXVIII, 1-68, 69

1.祝福(第28章1-14節)
2.のろい(第28章15-69節)

1.祝福(第28章1-14節)
『1*私が今日命じるすべてのおきてを守り行って,神なる主の声を真実に聞くなら,主は地のあらゆる民よりもおまえを高め,
2主の声を聞いた報いとして次のような*祝福を注がれるだろう.
3おまえは町においても野においても祝福される.
4胎内の実も,土地の実り(みのり)も,家畜の実も雌牛や羊のつくるものも祝福される.
5かごもこねばちも祝福される.
6入るときも出るときも祝福される.
7主はおまえに刃向かう敵を目の前で打ち倒される.敵は一つの道からおまえに攻めかかってくるが,七つの道に散って敗走する.
8主はおまえの倉と手の業(わざ)に祝福がともにあるように命ぜられる.主はおまえに与えられる地において祝福があるように命ぜられる.
9主のおきてを守りその道を歩んでいるのを見られれば,主は誓いを守られ,特に主聖別された民としておまえを立てられる.
10地の民はすべておまえの上に主の名のあるのを見て恐れる.
11主はおまえたちに与えようと先祖に約束されたその地で,胎(はら)の実,家畜の実,土地の実りの恵みを豊かに与えられる. 
12主は時に応じておまえの土地に雨を降らし,手の業を祝福するために,*恵みにあふれる宝物である天を開かれる.そうしておまえは多くの民に貸しを与え,自分には借りる必要があるまい.
13おまえに守り行わせるように今日命じる主のおきてを守っていると知れば,主はおまえをしっぽではなく頭とし,下ではなく上にいる者とされる.
14おまえが他の神々に従うことも奉仕することもせず、私の命じたすべてのことばを右にも左にもそれずに守るならそうなる.』

"1 Si autem audieris vocem Domini Dei tui, ut facias atque custodias omnia mandata eius, quæ ego præcipio tibi hodie, faciet te Dominus Deus tuus excelsiorem cunctis gentibus, quæ versantur in terra.
2 Venientque super te universæ benedictiones istæ, et apprehendent te: si tamen præcepta eius audieris.
3 Benedictus tu in civitate, et benedictus in agro.
4 Benedictus fructus ventris tui, et fructus terræ tuæ, fructusque iumentorum tuorum, greges armentorum tuorum, et caulæ ovium tuarum.
5 Benedicta horrea tua, et benedictæ reliquiæ tuæ.
6 Benedictus eris tu ingrediens et egrediens.
7 Dabit Dominus inimicos tuos, qui consurgunt adversum te, corruentes in conspectu tuo: per unam viam venient contra te, et per septem fugient a facie tua.
8 Emittet Dominus benedictionem super cellaria tua, et super omnia opera manuum tuarum: benedicetque tibi in terra, quam acceperis.
9 Suscitabit te Dominus sibi in populum sanctum, sicut iuravit tibi: si custodieris mandata Domini Dei tui, et ambulaveris in viis eius.
10 Videbuntque omnes terrarum populi quod nomen Domini invocatum sit super te, et timebunt te.
11 Abundare te faciet Dominus omnibus bonis, fructu uteri tui, et fructu iumentorum tuorum, fructu terræ tuæ, quam iuravit Dominus patribus tuis ut daret tibi.
12 Aperiet Dominus thesaurum suum optimum, cælum, ut tribuat pluviam terræ tuæ in tempore suo: benedicetque cunctis operibus manuum tuarum. Et fœnerabis gentibus multis, et ipse a nullo fœnus accipies.
13 Constituet te Dominus in caput, et non in caudam: et eris semper supra, et non subter: si tamen audieris mandata Domini Dei tui quæ ego præcipio tibi hodie, et custodieris et feceris,
14 ac non declinaveris ab eis nec ad dexteram, nec ad sinistram, nec secutus fueris deos alienos, neque colueris eos."

2.のろい(第28章15-68節)
『15ところが,私の命じたすべてのおきてと定めを守らず,踏み行わず,神なる主の声に耳をかさないなら,次に言うのろいがすべて襲いかかる.
16おまえは町でのろわれ,野でものろわれる.
17かごもこねばちものろわれる.
18胎内の実も,土地の実りも,雌牛と羊の産むものものろわれる.
19入るときも出るときものろわれる.
20主はおまえが手にかける業にのろいと恐れおののきとこらしめを送られ,主を見捨てて犯した悪のために,おまえたちが速やかに滅びてしまうのを打ち捨てておかれる.
21主は遺産として与えられるその地からおまえが姿を消してしまうまで,疫病(えきびょう)を送り,
22衰弱と熱病と炎症,熱気とかんばつとさび病と黒穂病で,おまえが滅び尽きるまで追い打ちをかけられる.
23頭上で空は青銅のようになり,下では地が鉄のようになる.
24地に降る雨は,土ほこりと砂に変えられ,それはおまえが滅びてしまうまで降り続く.
25主は敵の目の前でおまえを負かす.おまえは一つの道で攻めかかるが,七つの道に散って逃げ,地の民のすべてにとって見るも忌まわしいものとなる.
26おまえの死体は空の鳥と地の野獣のえじきとなり,それらを追い払う者は一人としてない.
27主はエジプトのはれ物とよこねと湿疹とかさぶたで,おまえたちを打たれ,二度と治るまい.
28主は精神を錯乱させ,目を見えなくし,五官を狂わせることによっておまえたちを打ち,
29やみの中で盲人が手さぐりするようにおまえは真昼でも手さぐりするだろう.おまえは手がけた仕事をやりとげられず,圧迫を受け,はぎ取られ,しかも助けてくれる者は一人もあるまい.
30女と婚約すれば,その女は他の男のものになり,家を建ててもそこには住めず,ぶどう畑を作ってもその実を収穫することはあるまい.
31おまえの牛が目の前でほふられてもその肉を食うことはできず,ろばは目の前で連れ去られて二度と帰ってこず,羊の群れは敵の手に渡りおまえの味方になって守ってくれる者は一人も認ない.
32息子と娘は他の民に渡される.おまえは毎日彼らの去った方をながめて目をくぼませても,彼らを助けるすべもない.
33見知らぬ民が,おまえの地面の実と労苦の産物を食べる.おまえはただ搾り取られ(しぼりとられ),おしつぶされるばかりである.
34おまえはその光景を見て気が狂うだろう.
35主はおまえのひざと太ももに治ることのない悪性のはれ物をつくられる.それは足の裏から頭の先までひろがるだろう. 
36主はおまえが上に立てた王とその民を,かつておまえも父親も見たことのない国に連れて行かれる.おまえはその地で,木と石の他の神々に仕えねばなるまい.
37主に連れて行かれる民の中でおまえは驚きとうわさと軽蔑の的になるだろう.
38おまえは畑に多くの種を運んでまくが,いなごに食われて収穫はわずかであろう.
39ぶどう畑を耕して植えるが,そのぶどう酒は飲めず,虫に食い尽くされて何の収穫もできまい.
40土地全体にオリーブの木があっても,それらはすべて切り倒されて,体に油を塗ることもできまい.
41息子と娘を生んでも,捕虜として連れ去られて自分のものにはなるまい.
42おまえのもつ木と土地の実りは*虫のえさとなる.
43ともに住む他国人はしだいに栄えていくにひきかえ,おまえはしだいに卑しくなっていく.
44彼らはおまえに物を貸すが,おまえは貸せない.彼らは頭となりおまえたちはしっぽとなる.
45こういうのろいがおまえの上にふりかかり,覆い尽くし,追いかけ追いつくだろう.こうしておまえは滅ぼされる.それは神なる主の声を聞かず,私が命じたおきてと定めを守らなかったからである.
46それはおまえと子孫にとって,永久にしるしとなり不思議となるだろう.
47おまえはすべてを豊かに受けながら,心のうれしさと喜びをもって神なる主に仕えなかったために,
48飢えと渇きと裸と赤貧のうちに,主が送られた敵に奉仕せねばならなくなる.主はおまえを滅ぼしつくすまで,その首の上に鉄のくびきをかけられる.
49主はおまえの敵として遠い民をたち向かわせるだろう.それは地の果てから飛び立つわしのような民である.おまえはその民のことばを知らない.
50その民の姿は恐ろしく,老人を敬わず若者にも容赦がない.
51その民はおまえを滅ぼし尽くすまで,家畜と土地の実りを食べ,小麦も新しいぶどう酒も油も,雌牛のつくる物も羊のつくる物も一つとして残さない.そうしておまえは滅ぼされる.
52その民は,おまえが信頼をおいていた領土内の高い堅固な城壁を打ち倒すまで,すべての町々を攻めるだろう.主がおまえに与えられた地においてその町々をすべて包囲するだろう.
53その敵の包囲によってひきおこされた悲惨なときに,おまえは自分の胎の実であり,主に与えられた息子や娘の肉を食うようになるだろう.
54*そのときには,心やさしく情の厚い男でさえ,兄弟や自分のふところの女やまだ残っている子らを冷たい目でながめ,
55自分がいま食べている子どもの肉を彼らに分け与えようとはしない.敵の包囲によってすべての町に襲いかかる悲惨のときには,おまえに残される物は一つもない.
56民の中でもっとも心やさしく情の厚い女でさえ,つまり心やさしく情が厚いために足を地につけることさえしなかった女でさえ,自分のふところの男や息子や娘を冷たい目でながめ,
57彼らから身を隠して自分が生んだ最後の子を食べるだろう.敵が町を包囲するその欠乏のとき,おまえはすべてを失い尽くすのである.
58この本に記されている法のことばを,神なる主の光栄ある恐れ多い名を敬いつつ実行しようと努めないなら,
59主はおまえとその子孫に向けて恐ろしい災害と,長く続くひどい災難と悪性の長びく病気を送られる.
60おまえが見て恐れおののいたエジプトの災害を,主はおまえ自身の身に立ち返らせ,その災害をおまえ自身にふりかからせる.
61それのみか,主はおまえが滅び尽きるまで,この法の書には記されていない他の病気と災害を送られる.
62空の星ほどに数多かった民は,わずかの人数しか生き残れまい. それはおまえが神なる主の声を聞かなかったからである.
63主はおまえたちを幸せにし数をふやして喜ばれたが,それと同じように,おまえたちを滅ぼし尽くすことを喜びとされるのだ.おまえたちはいま所有しようとするその国から引き抜かれてしまうだろう.
64主は地のこの果てからあの果てまで,すべての民の中におまえたちを散らし,そこでおまえは自分も先祖も知らなかった木と石の他の神々に仕えることになろう.
65その民の中でおまえには安らぎがなく,足の裏を静かにおくところもあるまい.主はその地でおまえに不安とくぼんだ目と洗い息遣いを与えられる.
66*おまえは落ち着いて生活できず,昼夜となく恐れ,自分の生命にさえ信頼はおけまい.
67心をしめつける恐怖とその目で見る光景のために,おまえは朝になると〈これがもう夜であったらましなのに〉と思い,夜になると〈これがもう朝であればましなのに〉と言うだろう.
68〈*私はもう二度とここを見まい〉と言った陸と海の道を通って,主はおまえたちをエジプトに送り返される.その地でおまえたちは男女の奴隷として敵に身を売ろうとするが,買ってくれる者はあるまい」.』

『69以上は,主がモアブの地でイスラエルの子らと結べと命ぜられた契約のことばである.それはホレブで彼らと結んだ契約以外のものである.』

"15 Quod si audire nolueris vocem Domini Dei tui, ut custodias, et facias omnia mandata eius et ceremonias, quas ego præcipio tibi hodie, venient super te omnes maledictiones istæ, et apprehendent te.
16 Maledictus eris in civitate, maledictus in agro.
17 Maledictum horreum tuum, et maledictæ reliquiæ tuæ.
18 Maledictus fructus ventris tui, et fructus terræ tuæ, armenta boum tuorum, et greges ovium tuarum.
19 Maledictus eris ingrediens, et maledictus egrediens.
20 Mittet Dominus super te famem et esuriem, et increpationem in omnia opera tua, quæ tu facies: donec conterat te, et perdat velociter, propter adinventiones tuas pessimas in quibus reliquisti me.
21 Adiungat tibi Dominus pestilentiam, donec consumat te de terra, ad quam ingredieris possidendam.
22 Percutiat te Dominus egestate, febri et frigore, ardore et æstu, et aere corrupto ac rubigine, et persequatur donec pereas. 23 Sit cælum, quod supra te est, æneum: et terra, quam calcas, ferrea. 24 Det Dominus imbrem terræ tuæ pulverem, et de cælo descendat super te cinis, donec conteraris.
25 Tradat te Dominus corruentem ante hostes tuos. per unam viam egrediaris contra eos, et per septem fugias, et dispergaris per omnia regna terræ.
26 sitque cadaver tuum in escam cunctis volatilibus cæli, et bestiis terræ, et non sit qui abigat.
27 Percutiat te Dominus ulcere Ægypti, et partem corporis, per quam stercora egeruntur, scabie quoque et prurigine: ita ut curari nequeas.
28 Percutiat te Dominus amentia et cæcitate ac furore mentis,
29 et palpes in meridie sicut palpare solet cæcus in tenebris, et non dirigas vias tuas. Omnique tempore calumniam sustineas, et opprimaris violentia, nec habeas qui liberet te.
30 Uxorem accipias, et alius dormiat cum ea. Domum ædifices, et non habites in ea. Plantes vineam, et non vindemies eam.
31 Bos tuus immoletur coram te, et non comedas ex eo. Asinus tuus rapiatur in conspectu tuo, et non reddatur tibi. Oves tuæ dentur inimicis tuis, et non sit qui te adiuvet.
32 Filii tui et filiæ tuæ tradantur alteri populo, videntibus oculis tuis, et deficientibus ad conspectum eorum tota die, et non sit fortitudo in manu tua.
33 Fructus terræ tuæ, et omnes labores tuos comedat populus, quem ignoras: et sis semper calumniam sustinens, et oppressus cunctis diebus,
34 et stupens ad terrorem eorum quæ videbunt oculi tui.
35 Percutiat te Dominus ulcere pessimo in genibus et in suris, sanarique non possis a planta pedis usque ad verticem tuum.
36 Ducet te Dominus, et regem tuum, quem constitueris super te, in gentem, quam ignoras tu et patres tui: et servies ibi diis alienis, ligno et lapidi.
37 Et eris perditus in proverbium ac fabulam omnibus populis, ad quos te introduxerit Dominus.
38 Sementem multam iacies in terram, et modicum congregabis: quia locustæ devorabunt omnia. 39 Vineam plantabis, et fodies: et vinum non bibes, nec colliges ex ea quippiam: quoniam vastabitur vermibus.
40 Olivas habebis in omnibus terminis tuis, et non ungeris oleo: quia defluent, et peribunt.
41 Filios generabis et filias, et non frueris eis: quoniam ducentur in captivitatem.
42 Omnes arbores tuas et fruges terræ tuæ rubigo consumet.
43 Advena, qui tecum versatur in terra, ascendet super te, eritque sublimior: tu autem descendes, et eris inferior.
44 Ipse fœnerabit tibi, et tu non fœnerabis ei. Ipse erit in caput, et tu eris in caudam.
45 Et venient super te omnes maledictiones istæ, et persequentes apprehendent te, donec intereas: quia non audisti vocem Domini Dei tui, nec servasti mandata eius et ceremonias, quas præcepit tibi.
46 Et erunt in te signa atque prodigia, et in semine tuo usque in sempiternum:
47 eo quod non servieris Domino Deo tuo in gaudio, cordisque lætitia, propter rerum omnium abundantiam:
48 servies inimico tuo, quem immittet tibi Dominus, in fame, et siti, et nuditate, et omni penuria: et ponet iugum ferreum super cervicem tuam, donec te conterat.
49 Adducet Dominus super te Gentem de longinquo, et de extremis terræ finibus in similitudinem aquilæ volantis cum impetu: cuius linguam intelligere non possis:
50 Gentem procacissimam, quæ non deferat seni, nec misereatur parvuli,
51 et devoret fructum iumentorum tuorum, ac fruges Terræ tuæ: donec intereas, et non relinquat tibi triticum, vinum, et oleum, armenta boum, et greges ovium: donec te disperdat,
52 et conterat in cunctis urbibus tuis, et destruantur muri tui firmi atque sublimes, in quibus habebas fiduciam in omni Terra tua. Obsideberis intra portas tuas in omni Terra tua, quam dabit tibi Dominus Deus tuus:
53 et comedes fructum uteri tui, et carnes filiorum tuorum et filiarum tuarum, quas dederit tibi Dominus Deus tuus, in angustia et vastitate qua opprimet te hostis tuus.
54 Homo delicatus in te, et luxuriosus valde, invidebit fratri suo, et uxori, quæ cubat in sinu suo, 55 ne det eis de carnibus filiorum suorum, quas comedet: eo quod nihil aliud habeat in obsidione et penuria, qua vastaverint te inimici tui intra omnes portas tuas.
56 Tenera mulier et delicata, quæ super terram ingredi non valebat, nec pedis vestigium figere propter mollitiem et teneritudinem nimiam, invidebit viro suo, qui cubat in sinu eius, super filii et filiæ carnibus,
57 et illuvie secundarum, quæ egrediuntur de medio feminum eius, et super liberis qui eadem hora nati sunt. comedent enim eos clam propter rerum omnium penuriam in obsidione et vastitate, qua opprimet te inimicus tuus intra portas tuas.
58 Nisi custodieris, et feceris omnia verba legis huius, quæ scripta sunt in hoc volumine, et timueris nomen eius gloriosum et terribile, hoc est, Dominum Deum tuum:
59 augebit Dominus plagas tuas, et plagas seminis tui, plagas magnas et perseverantes, infirmitates pessimas et perpetuas.
60 et convertet in te omnes afflictiones Ægypti, quas timuisti, et adhærebunt tibi:
61 Insuper et universos languores, et plagas, quæ non sunt scriptæ in volumine legis huius, inducet Dominus super te, donec te conterat:
62 et remanebitis pauci numero, qui prius eratis sicut astra cæli præ multitudine, quoniam non audisti vocem Domini Dei tui.
63 Et sicut ante lætatus est Dominus super vos, bene vobis faciens, vosque multiplicans: sic lætabitur disperdens vos atque subvertens, ut auferamini de Terra, ad quam ingredieris possidendam.
64 Disperget te Dominus in omnes populos a summitate terræ usque ad terminos eius: et servies ibi diis alienis, quos et tu ignoras et patres tui, lignis et lapidibus.
65 In gentibus quoque illis non quiesces, neque erit requies vestigio pedis tui. Dabit enim tibi Dominus ibi cor pavidum, et deficientes oculos, et animam consumptam mœrore:
66 Et erit vita tua quasi pendens ante te. Timebis nocte et die, et non credes vitæ tuæ.
67 Mane dices: Quis mihi det vesperum? et vespere: Quis mihi det mane? propter cordis tui formidinem, qua terreberis, et propter ea, quæ tuis videbis oculis.
68 Reducet te Dominus classibus in Ægyptum per viam, de qua dixit tibi ut eam amplius non videres. Ibi venderis inimicis tuis in servos et ancillas, et non erit qui emat."

(Deuteronomium 29)
"1 Hæc sunt verba fœderis quod præcepit Dominus Moysi ut feriret cum filiis Israel in Terra Moab: præter illud fœdus, quod cum eis pepigit in Horeb."


(注釈)

祝福(28・1-14)

1 ここは第二法の重大な定めであり,同時に旧約として文学的にも高く評価されている.

2 祝福ものろいも人格化して記されている.

12 当時の宇宙観によると,天に水が蓄えられていると考えていた.

のろい(28・15-69)

42 どんな虫かはっきりしない.

54 列王下6・28以下.エレミア哀歌4・10参照.

66 一刻一刻が生命の危険を伴って.ヨブ24・22 68
神に忠実でなければ,神が先祖のために行われた救いの業は空しくなるという思想.


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②レビの書〈Leviticus〉:第26章1-46節

1・神のおきてを守る者への祝福 (第26章1-13節)
2・神のおきてに背く者へののろい (第26章14-39節)
3・神の慈愛 (第26章40-46節)

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1・神のおきてを守る者への祝福(第26章1-13節)

『1 *おまえたちは,*偶像をつくってはならぬ.*彫像も*立て柱も拝んではならぬ.その前にひれ伏そうとして,*浮き彫りにした石を,自分の地に立てることもならぬ.主なる私はおまえたちの神だからである.

2 おまえたちは私の安息日を守り,私の聖所を尊べ.私は主である.

3 私のおきてを守って歩み,私の定めをふみ行うなら,
4 私は,適した時期に雨を与え,地はその実りを,野の木はその実をつけるだろう.
5 麦打ちはぶどうの収穫のときまで続き,ぶどうの収穫は種まきのときまで続く.おまえたちは,思いのままにパンを食べ,その地に,安らかに住めるであろう.
6 私は,地に平和を与える. 7 おまえたちは,なんの恐れもなく休める.私は,その地から害ある獣を追い,剣がおまえたちの地を過ぎることもあるまい.
8 敵は追い払われ,おまえたちの剣の前で倒れる.
9 おまえたちの五人で,敵の百人を敗走させ,百人は一万人を敗走させるだろう.
10 私は,慈しみの目をおまえたちに向け,数を増し,ふやし,私の契約を守る.
11 前の年の収穫を食べて,新しい収穫のときまでに,捨てるほどのものが残るだろう.私は,*この地に住まい,おまえたちを見捨てることはない.
12 私は,この中で生き,おまえたちの神となり,おまえたちは私の民となる.
13 私はエジプトの地の奴隷からおまえたちを導き出した神なる主である.おまえたちのくびきの鎖を切り,頭をあげて歩けるようにしたのは,私である.』


2・神のおきてに背く者へののろい(第26章14-39節
『14 だが,もしおまえたちが,私の言うことをきかず,おきてを守らず,
15 定めを捨て,ならわしを拒み,命令を聞かず,私との契約を破るなら,
16 私もおまえたちに対して,同じことをする.目をなえしぼませ,息をたえだえにするほどの恐怖と,衰弱と熱病を送って,おまえたちを罰する.おまえたちが種をまいてもむなしく,その実りは敵に食べられることになる.
17 私はおまえたちに刃向かう.おまえたちは敵に破られ,かたきに支配され,追う者がないのに逃げ出すことになる.

18 *そういうことがあってもなお私の言うことをきかぬなら,おまえたちの罪の七倍も罰を加え続ける.
19 私はおまえたちのおごった力を打ち砕き,空を鉄のようにし,地を青銅のようにする.
20 おまえたちは努力しても,それはむだだろう.その地には,もはや実りもなく,野の木は実を結ぶことがあるまい.

21 おまえたちが,ひきつづき,私に背いて言うことを聞かないなら,その罪に七倍の罰をふやそう.
22 私はおまえたちのところへ野獣を送る.それらは,おまえたちの子らを連れ去り,家畜を殺し,道が寂しくなるほど,人の数を減らしてしまう.

23 そうあってもなお心を改めず,私に背き続けるならば,
24 私もおまえたちに刃向い,その罪に七倍の罰を加えよう.
25 破られた契約のかたきを討つために,剣を送ろう.おまえたちは,町に集まり寄るが,その中に疫病を送って,おまえたちを敵の手に渡してしまう.
26 *私がおまえたちのパンの棒を折るときには,十人の女が,たった一つのかまどでパンを焼き,そのパンを小切れにして与える.腹は満たされることがあるまい.

27 なおそれでもおまえたちが私の言うことをきかず,背き続けるなら,
28 私は大いに怒っておまえたちに刃向い,その罪の七倍の罰を下そう.
29 おまえたちは,自分の息子らの肉や,娘らの肉を食らうことになる.
30 私は,おまえたちの高台を打ち壊し,*カンマニムを倒し,偶像の屍の上に民の屍(しかばね)を積み重ね,もはや,おまえたちを見放す.
31 また町々を廃墟と変え,聖所を荒らし,香り高い香認をかがないであろう,
32 その地に住まいにきた敵も驚くほどに,私はそこを荒らしてしまう.
33 さらに民を他国に散らし,剣を抜き放ってその後ろに立つ.地は荒れほうだいになり,町は廃墟(はいきょ)となるであろう.

34 荒廃(こうはい)のそのとき,おまえたちが敵の地にいる間に,地は安息を取り返し,休みをとって,安息を果たすであろう.
35 おまえたちが住んでいたときに,安息を守らなかったその地は,荒廃のときに休みをとる.
36 おまえたちが敵の地にいる間,生き残った者の心に,私は落胆(らくたん)の思いを注ごう.風にゆらぐ葉ずれの音にさえ,みなは逃げまどう,剣に驚いて逃げ走るように.追う者もないのに,彼らは倒れる.
37 追う者もないのに,まるで剣をつきつけられたように,互いにぶつかって倒れる.おまえたちには,敵に刃向う力がなくなり,
38他国に散り,敵の地に食い尽くされてしまう.
39 おまえたちの中で生き残った者は,自分の犯した罪と先祖の罪の罰を受けて,敵の地で弱り果てる.』


3・神の慈愛(第26章40-46節)

『40 *そのとき民は,私に対してした不実(ふじつ)と反逆(はんぎゃく)と,祖先の罪を告白するだろう.
41 私もやむをえず,彼らに刃向かって,彼らを敵の地に流さざるをえなかった.割礼のない彼らの堅い心は,そのときへり下り,自分たちの罪を償うだろう.
42私は,ヤコブとの契約,イサクとアブラハムとにした約束を,また,その地のことを思い出すだろう.
43 民が去って行ったあとの荒廃の地は,安息の年を取りもどし,彼らは罪を償(つぐな)わねばなるまい,彼らが私の定めをこばみ,おきてを軽んじたからである.

44 だが彼らが敵の地にいる間,私は契約を破って,彼らを滅ぼし尽くすほどに見捨てることはしないし,怒り続けることもすまい.私は彼らの主だからである.
45 私は彼らの神となるために,他国のエジプトの国から彼らの先祖を導き出した,その民の目の前で,先祖とした契約を,彼らのために思い出そう.私は主である〉」.

46 これは主が,シナイの山の上で,モーゼを通じてご自身とイスラエルの子らとの間に定められた慣習と規定と律法である.』

(注釈)

神のおきてを守る者への祝福(26・1-13)

ハムラビ法典(西暦前十八世紀)や,昔の中近東諸国の書主同士の契約(西暦前十八世紀から前十三世紀にかけて〉や,旧約聖書(脱出の書〈出エジプト〉23・20ー33),第二法の書28・11-68)にもあるように,聖徳の法典は,神のおきてを守る人々への祝福と,それに背(そむ)く人々へののろいをもって,おおむね結びとしていた.

この章の場合,祝福とのろいの背景には,主なる神とイスラエル人との間の「契約」がある.
神との契約を守ることは,幸福と繁栄の保証であり,それに違反することは神の罰を招くもとであると,はっきり示されている.
神はつねに慈悲(じひ)あるものであるが,つねに人間の側からの,善意と協力が必要である.

それにしても,契約の主導権は神にあるのであるから,人間がそれに違反したといっても, 最後的な結着はつねに神の側にある.したがってここに出ているのろいは,いまわれわれがいう意味での「のろい」ではなくて,むしろ,神の慈悲を表明する警告というべきであり,神が民を見捨てたことにはならない.

1 19・4参照.

* 脱出の書(出エジプト)20・4,第二法4・16参照.

* 脱出34・13参照.

* 荒野の書(民数)33・52,エゼキエル8・12参照.

11 聖所,神の住まいのことではなく,むしろ,神がつねに民とともにあるという意味にとった方がよい.


神のおきてに背く者へののろい(26・14-39)

18「罰する」ということばは28節にも出る.ヘブライ語の原意は,「教育する,つくり上げる,戒める」の意味である.
親が子どもを教育する場合(第二法8・5,21・18,格言15・18),またはイスラエル人に対する神の干渉などを表すときに用いられることばである(第二法4・36,エレミア2・19,10・24,30・11).
ここに出る「のろい」の目的は,警告としてののろいであって,完全な罰ののろいではない.

26 「パンの棒(エゼキエル4・16,5・16,14・13,詩篇105・16.「パンの俸を折る」ということばには,二つの解釈があるが,
その一つは,保存するパンを棒につきさしておいたので,棒を折ることは,保存がきかなくなることを意味するという説明である.
もう一つは,棒はつえであり,旅人の支えであるので,パンも,人間の生命の支えとなるべきものという意味で,パンの棒と表現したという.

30「カンマニム」は太陽神を祝う儀式と関連があり,「太陽神の柱」と訳した人もある.
しかし,実は,偶像崇拝に用いた「香の祭壇」で,個人用のものであったらしい.


神の慈愛(26・40-46)

40-45 エレミアの書とエゼキエルの書の,慰めに満ちた預言に似た表現をとって,「神の罰の意味」を説明する.
慈悲なる神は,民の立ちもどることを望んでおられるが,そうなることにより,はじめて民は幸福を受けることができる.




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第5パラグラフの訳注5-1:

第二法の書:第18章15-18節(第18章9-22節を掲載)
Deuteronomium XVIII, 15-18 (9-22)

『9 *神なる主が与えてくださる地に入れば,そこの民のいとわしい行いをまねするな.
10 おまえのところでは,自分の息子や娘に火の上を歩かせる者,占いやまじないや易や魔法を行う者,
11 呪縛を行う者,妖怪や先祖の霊を呼ぶ者,死霊に呼びかける者などがあってはならぬ.
12 こういうことをする者は主に忌みきらわれる.主はまさにこういうことのために,おまえの前からその民を追われる.

13 おまえは主の前で申し分のない者でなければならぬ.
14 おまえの追い払う民は魔法使いや占い者にうかがいを立てていたが,神なる主はそういう者たちをおまえに遣わされない.
15 主はおまえの兄弟の中から,私のような預言者を民のために立てられるであろうから,その者の言うことを聞け.
16 それはホレブの山の集会の日,おまえが主にこいもとめたことである.そのときおまえは〈神なる主の声をもう聞かせてくださるな,そうしないと死んでしまいます.もうこの大きな炎を見たくありません〉と言った.
17 主はそのとき私に言われた,〈彼らの言うことは正しい.
18 *私は彼らの中におまえのような預言者を立て,その口に私のことばをおく,その預言者が私のことばを伝える.
19 その預言者が私の名によって告げたことを聞かない者があれば,私自身それについて彼に責めを追う.
20だがある預言者が私の命令しなかったことばを私の名で告げたり,他の神々の名をかりて告げたりすれば,彼は死なねばならぬ〉.

21 おまえは心の中で〈主はこのことばを言わなかったと,どうしてわれわれに分かろう〉と言うかもしれぬ.
22 その預言者が主の名で告げても,そのことばが当たらないし,実現もしないなら,それは主のことばではない.彼は勝手気ままに告げているのだから,おまえは恐れなくてよい.』

"9 Quando ingressus fueris Terram, quam Dominus Deus tuus dabit tibi, cave ne imitari velis abominationes illarum gentium.
10 nec inveniatur in te qui lustret filium suum, aut filiam, ducens per ignem: aut qui ariolos sciscitetur, et observet somnia atque auguria, nec sit maleficus,
11 nec incantantor, nec qui pythones consulat, nec divinos, aut quærat a mortuis veritatem.
12 omnia enim hæc abominatur Dominus, et propter istiusmodi scelera delebit eos in introitu tuo.

13 perfectus eris, et absque macula cum Domino Deo tuo.
14 Gentes istæ, quarum possidebis terram, augures et divinos audiunt: tu autem a Domino Deo tuo aliter institutus es.
15 PROPHETAM de gente tua et de fratribus tuis sicut me, suscitabit tibi Dominus Deus tuus: ipsum audies,
16 ut petisti a Domino Deo tuo in Horeb, quando concio congregata est, atque dixisti: Ultra non audiam vocem Domini Dei mei, et ignem hunc maximum amplius non videbo, ne moriar.
17 Et ait Dominus mihi: Bene omnia sunt locuti.
18 Prophetam suscitabo eis de medio fratrum suorum similem tui: et ponam verba mea in ore eius, loqueturque ad eos omnia quæ præcepero illi.
19 qui autem verba eius, quæ loquetur in nomine meo, audire noluerit, ego ultor existam.
20 Propheta autem qui arrogantia depravatus voluerit loqui in nomine meo, quæ ego non præcepi illi ut diceret, aut ex nomine alienorum deorum, interficietur.

21 Quod si tacita cogitatione responderis: Quo modo possum intelligere verbum, quod Dominus non est locutus?
22 hoc habebis signum: Quod in nomine Domini propheta ille prædixerit, et non evenerit: hoc Dominus non est locutus, sed per tumorem animi sui propheta confinxit: et idcirco non timebis eum."

(注釈)

レビ人の権利(18・1-8)

預言者(18・9-22)
9 神と人間との仲介に立つのは預言者だけであって,その他のものは迷信であると断言する.

18 預言者制度が定まった意味で重大な一節である.新約ではこの所をよく引用している(使徒行録3・22-26,7・37).
この原文に基づいてユダヤ人は「新しいモーゼ」としてキリストを待ちうけた(ヨハネ聖福音1・21).ヨハネ福音史家もキリストとモーゼを並べて比較している.



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訳注を続けます.








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(注:本投稿記事〈第372回エレイソン・コメンツ〉は2014年9月25日21:30に公開されました.)