親愛なる読者,友人の皆様
先週回の「エレイソン・コメンツ(以下「EC」)」より二重の混乱が生じましたのでお知らせいたします.一つは重要度の低い問題で,ナンバリングについてです.先週回「EC 第137回」のいずれかの言語版で136回となっていましたら137回の間違いです.先々週に公開予定であった「EC 第136回」は公開時点で満足のいく内容でなかったため公開を見合わせることにしました.今週回の「EC」は第138回となり,以降に続きます.
もう一つの方が重要で,「EC 第137回」における教義についての記述に誤りが含まれていたことです.キリスト単性論者の異説は,神にはただ一つの位格しかないとするのではなく,イエズス・キリストには唯一つの性質しかないとします.言い方を換えれば,キリストには人間性はなく,したがって彼は真の人間ではなかった,とします.イスラム教の誤りは実際にはネストリウス派の異説(訳注・「ネストリウス派」…古代キリスト教の教派の一つ.431年にエフェソス公会議において異端と断罪され排斥された.)に基づいて起こったもので,これによるとキリストは神性と人性の二つの性質を持ち,言い換えれば人性の部分たるイエズスは神ではなかった.とするものです.同様に,イスラム教ではイエズスは偉大な預言者ではあったが,神ではない,とする教義をその信条としています.
この誤りはフランス語,ドイツ語,イタリア語版では修正されてありましたが,英語,スペイン語版ではコンピューターの操作ミスで未修正のまま公表されてしまいました.(キリスト単性論者の)「単性」 “Monophysite” というのはもちろん,ギリシャ語の「単」 “mono-” すなわち “single” と,「性」 “-physis” すなわち “nature” から来た用語です.私がこんな誤りをおかしたのは前の晩にグリーン・チーズを食べ過ぎたせいに違いありません.(訳注・“green cheese” … 生チーズ,熟成行程前の若いチーズのこと.表面に凹凸があり丸く固められたものが多い.似ても似つかないものの比較として月とグリーン・チーズが取り上げられるようになったことに由来して使われる言い方.「愚かな人は月をグリーン・チーズと言われるとそうだと思い込む」)
皆様に神の祝福がありますように,
+リチャード・ウィリアムソン
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(石畳の追記)
この編集付記に従って「EC 第137回」を修正いたしました.