エレイソン・コメンツ 第338回 (2014年1月4日)
聖ピオ十世会( "the Society of St Pius X"=SSPX )の現指導者(げん しどうしゃ)たちは同会を主流派教会(しゅりゅうは きょうかい)の枠組みにはめこうもうと着実(ちゃくじつ)かつ巧妙(こうみょう)に動いています( "The present leaders of the Society of St Pius X are working steadily and craftily towards inserting it into the framework of the mainstream Church, …" ).そして,主流派教会は革命的(かくめい てき),公会議派的自由(宗教の自由)(こうかいぎは じゆう〈しゅうきょうのじゆう〉)( "Conciliar ideals of liberty (religious liberty) " ),平等(同僚性)(びょうどう〈どうりょうせい〉)( "equality (collegiality) " ),友愛(キリスト教統一運動=エキュメニズム)(ゆうあい〈きりすと きょう とういつ うんどう=えきゅめにずむ〉)( "fraternity (ecumenism) " ) の理想(りそう)に向(む)かい着実かつ巧妙に突き進(つき すす)んでいます( "… which is steadily and craftily pushing forward the Revolutionary and Conciliar ideals of liberty (religious liberty), equality (collegiality) and fraternity (ecumenism). " ).それでも,彼ら指導者たちが枢機卿(すうききょう)ビィユーのことを真剣(しんけん)に受け止(うけと)めているのは間違(まちが)いありません( "Yet these leaders surely take Cardinal Billot seriously." ).彼らはビィユーが著名な自著(ちょめいな じちょ) キリストの教会に関する論文(ろんぶん) 第1巻終章(しゅうしょう)で説(と)いた教会の7つの時代(ななつの じだい)の第5時代(だいご じだい)についての考察(こうさつ)を熟考(じゅっこう)すべきです( "They should meditate on his reflections on our Fifth Age of the Church which follow his exposition of the Seven Ages in the Epilogue to the first volume of his celebrated Treatise on the Church of Christ. " ).以下にビィユーの考察の一部(いちぶ)をラテン語(ご)から翻訳(ほんやく),要約(ようやく)してご紹介(しょうかい)します:-- ( "Here are some of those reflections, freely translated and adapted from the Latin:-- " )
「私たちの時代(じだい)は,神聖(しんせい)ローマ帝国(ていこく)と聖パウロの言う 「死からの復活(し からの ふっかつ)」 (新約聖書・使徒聖パウロのローマ人への手紙:第11章15節) との間(あいだ)の第5の時代,すなわち離脱(りだつ),背教(はいきょう)そして自由主義(じゆうしゅぎ)の時代だということでしょう( " “Our own age would then be the Fifth Age, Age of defection, apostasy and liberalism, coming between the end of the Holy Roman Empire and what St Paul calls a “resurrection from the dead” (Rom. XI, 15). " ).そうですとも! この時代は,私たちすべてを今日の無数(むすう)の大試練(だいしれん)に合(あ)わせながらも (枢機卿はこれを1927年に記〈しる〉しましたが,2013年だったら彼はなんと書いたでしょう?) 将来(しょうらい)の回復・復興(かいふく・ふっこう)( "future restoration" )と ― この表現(ひょうげん)をお許(ゆる)しください ― 反革命(はんかくめい)( "Counter-revolution" )への希望(きぼう)を与(あた)えてくれます ( "May it be so ! It gives us all amidst our so many and so great tribulations of today (the Cardinal wrote in 1927 – what would he have written in 2013?) hope of a future restoration and – forgive the expression -- Counter-revolution. " ).今日(こんにち)すでに多(おお)くの指導的(しどうてき)な立場(たちば)にある科学者(かがくしゃ),政治家(せいじか),経済学者(けいざい がくしゃ)たちは,「人間の諸権利(にんげんの しょけんり)」軽視(けいし)が世界(せかい)の諸悪の唯一の根源(しょあくの ゆいいつの こんげん)だと宣言(せんげん)した1789年フランス革命の結実(けつじつ)がいかに毒(どく)を含(ふく)んだものかを認識(にんしき)し,それを正直(しょうじき)に認(みと)めています( "Already today many leading scientists, politicians and economists are recognizing and freely admitting how poisoned are the fruits of the French Revolution of 1789, which proclaimed that the one and only source of all the world’s ills was scorn for the “rights of man”. " ).(革命は)なんと軽薄(けいはく)なことでしょう! なんと愚(おろ)かなことでしょう! そして、なんたる愚行(ぐこう)でしょう!( "What frivolity ! What silliness ! What stupidity ! " )」
「革命家(かくめいか)たちの求(もと)めた自由(じゆう)は強者の弱者虐待(きょうしゃの じゃくしゃ ぎゃくたい)という結果(けっか)に終(お)わります( " “The Revolutionaries’ liberty results in tyranny of the strong over the weak;…" ).彼らの求(もと)めた平等(びょうどう)は数名(すうめい)の百万長者(ひゃくまん ちょうじゃ)が人々(ひとびと)に威張り散らす(いばり ちらす)という結果(けっか)に終(お)わります (2013年のウォール街〈がい〉が頭〈あたま〉に浮〈う〉かぶでしょう!) ( "… their equality results in a few millionaires lording it ever more over the people (one thinks of Wall Street, 2013 !);…" ).彼らが求めた友愛(ゆうあい)は内部抗争(ないぶ こうそう)と階級間の憎悪(かいきゅうかんの ぞうお)という結果に終わります( "… their fraternity results in internal strife and class hatred." ).これを理解(りかい)する人もいるでしょうが,多くの人々(おおくの ひとびと)は革命(かくめい)の本質的(ほんしつてき)に邪悪(じゃあく)な(=悪魔的〈あくまてき〉な "satanic" ) 性格(せいかく)を分(わ)かっていません( "Some people grasp this, while many do not see the essentially satanic character of the Revolution." ).しかし,表面(ひょうめん)を掘り下げて見る人(ほりさげて みる ひと)なら理解します( "However those who go beneath the surface see …" ).すなわち,宗教問題の根底(しゅうきょう もんだいの こんてい)をなすのが人類(じんるい)を動揺(どうよう)させているほかのすべての諸問題(しょもんだい)であること:( "… that the religious question underlies all other questions presently agitating mankind: " ) すなわち政治的(せいじてき),経済的(けいざいてき)自由主義(じゆうしゅぎ)がもたらす伝染病(でんせんびょう)は上(うえ)に述(の)べた無神論的(むしんろんてき)( "the atheistic" )かつ反キリスト教的(はんきりすと きょうてき)な自由主義 ( "anti-Christian liberalism" )から生じること( "… that the plague of political and economic liberalism arises from the atheistic and anti-Christian liberalism laid out above;…" ),そして社会的秩序(しゃかいてき ちつじょ)は教会の諸原則(きょうかいの しょげんそく)が再(ふたた)び公共生活(こうきょうせいかつ)を導(みちび)くようにならない限(かぎ)り回復(かいふく)しないことを理解(りかい)します( "… that the social order can in no way be restored unless the Church’s principles once more direct public life." ).」
「この理屈(りくつ)を理解(りかい)することが実際(じっさい)に役立つ(やくだつ)成果(せいか)をもたらすと良(よ)」いのですが! ( " “Would that this recognition of the theory might bear practical fruit ! " ) 私たちは,いま私たちの生活(せいかつ)を律(りっ)する異教徒の法律(いきょうとの ほうりつ)がまだ個々人(ここじん)がキリスト教徒(きょうと)でいるのを認(みと)めることを知(し)り (2013年のいま,それがいつまでつづくでしょうか?), そのような回復・復興(かいふく・ふっこう)が実現(じつげん)するよう心の底(こころの そこ)から願(ねが)います ( "With all our heart we call for such a restoration, knowing how the pagan laws under which we are now living may still allow individuals to be Christian (in 2013, how much longer ?) , but they make a Christian society altogether impossible." ).それ故(ゆえ),私たちは他の何(たの なに)よりも神の王国(かみの おうこく)とその正義(せいぎ)を求(もと)め,私たちに加(くわ)えられるそれ以外(いがい)のものをさげすむようなことはしません (新約聖書・マテオ聖福音書:第6章33節を参照)( "Therefore we seek above all the kingdom of God and his justice, without despising the rest that will be added unto us (cf. Mt. VI, 33)." ). 聖パウロが神を敬(うやま)うことについて,それは「あらゆることに有益(ゆうえき)である」と述べているように,「いまある生命(せいめい)とこれから生まれる生命に約束(やくそく)を与(あた)える」教会の影響力(きょうかいの えいきょうりょく)についても同(おな)じことが言(い)えます (使徒聖パウロのティモテオへの第一の手紙:第4章8節を参照).( "As St Paul says of godliness that it is, “profitable to all things”, so too is the Church’s influence, “having promise of the life that now is, and of that which is to come” (cf. I Tim. IV, 8).” " )」
ビィユー枢機卿(すうききょう)は近代世界(きんだい せかい)の上辺(うわべ)だけの魅力(みりょく)の本質(ほんしつ)を見抜(みぬ)こうとしない人々(ひとびと)が多数(たすう)いることに触(ふ)れていますが,彼がそのような人々のひとりでなかったことを理解(りかい)するのは難(むずか)しいことではありません( "It is not difficult to see here how the Cardinal was not one of the many souls he mentions that do not see through the false glamour of the modern world." ).それどころか,彼はカトリック教教理(きょうり)をしっかりと理解していたため,彼の時代から1世紀近く(いっせいき ちかく)経(た)った私たちの時代のことについてさえ記述(きじゅつ)できます( "On the contrary his firm grasp of Catholic doctrine enables him to describe our own times, nearly a century later." ).
SSPX 本部(ほんぶ)の皆(みな)さん,いま教会(きょうかい)を支配(しはい)している自由主義者(じゆうしゅぎしゃ)たちを改心(かいしん)させるなどという愚かな夢(おろかな ゆめ)から目覚(めざ)め( "SSPX Headquarters, wake up from your foolish dream of converting the liberals now controlling the Church, …" ),依然(いぜん)として伝統(でんとう)を守(まも)っているというような曖昧な宣言(あいまいな せんげん)を流(なが)すことで自(みずか)らを偽(いつわ)るのをやめなさい( "… and stop pretending with a flow of ambiguous Declarations that you are still defending Tradition." ).あなたたちの行動(こうどう)は,あなたたちがそれとは正反対(せいはんたい)であることを立証(りっしょう)しています.行動(こうどう)は一連の宣言(いちれんの せんげん)よりはるかに雄弁(ゆうべん)です!( "Your actions prove the contrary, and actions speak louder than a series of Declarations ! " ) あなたたちは名目(めいもく)では生(い)きていますが,実体(じったい)では死(し)んでいます.目を覚(めを さ)まし,残った者(のこった もの),死(し)をいとわない者を助け強(たすけ つよ)めなさい.あなたたちがルフェーブル大司教から受(う)けたものを心(こころ)にとどめ,それを実践(じっせん)し,罪の償い(つみの つぐない)をしなさい.( "You have the name of being alive, but you are dead. Wake up, and strengthen the things that remain, which are ready to die. Have in mind what you received from the Archbishop, and put it into practice, and do penance." )
キリエ・エレイソン.
リチャード・ウィリアムソン司教
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訳注(聖書の引用箇所)を追加掲載いたします.
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