エレイソン・コメンツ 第181回 (2011年1月1日)
2011年が大変な年になるような気がしてなりません.世界は心の暗闇,意思の堕落の真っただ中にあります.人の心にとって「世の光」であり,意思の堕落を防ぐ「地の塩」(人のお手本)であるべきカトリック教会( “The Church” )はその輝きを失っています(訳注後記).カトリック教会はいぜん存在し続けていますが,その持つ輝き,温(ぬく)もりは人間が犯した誤りのために,もはや人々に届かなくなっています.
このような状況では,世間のかかえるもろもろの困難がどうしても私たちの身に降りかかってきます.今年中か近い将来,人間社会に想像を絶するような劇的変化が起こることでしょう.情け容赦のない現実の法則が世界経済を混乱に陥(おとしい)れるでしょう.だが,大半の専門馬鹿の「経済学者たち」は相変わらず夢の国が来ると説き続けています.とりわけ家庭の父親たちが既成概念(きせいがいねん)にこだわらずに考えることができればと願い,ここでは現実を見失っていないひとりの著者・評論家の言葉を引用することにします.ニューヨークを中心に活動しているジェラルド・セレント氏 “Gerald Celente” (trendsresearch.com)です.--
「金融界を襲っている嵐を乗り切るには何をすべきかについて,私たちは傾向に焦点を当てた具体的助言をするよう絶えず求められています.だが単純明快で,なににでも効く万能薬などありません.個々人が直面する状況はそれぞれ違うからです.もしあなたが地方に住んでいて失業中なら,都会やその近郊に住む人たちとは違う可能性,問題を抱えているでしょう.
先ず実感すべき大事な要素は,自分の直面する状況を乗り切るには長期戦を覚悟しなければならないということです.現在は縮小の時代,持ちこたえ防備する時代です.全体的に可処分所得は減ってきており,本質的なこと以外に使えるドルは少ない状況です.お金が流れているあいだ「本質的」と思えたことは,お金が底をつくと「つまらないこと」に変わります.
「職探しをするに当たり,もし見つかった仕事がもはや選択の対象にならないもの(不動産代理業,住宅ローンブローカー,出版,建設,小売,自動車製造従業員,などなど)と自分で判断したのであれば,いまこそ実務的に考えてあなた自身の夢をかなえる好機でしょう(訳注・原文 “…now may be the time, if at all practical, to live out your dream.” あなたはこれまで常々何をしたいと願ってきましたか?あなたは,他の人たちと自分との違いを際立たせるような他人にはない才能・資質や能力を自分自身のうちに見出し(発掘し)ましたか?そうしたことをあなたは自問しそれに基づいて,自分が楽しくできることは何か,それをすることで生計を立てる可能性はどの程度あるかを,自分自身に問うてみることです.それが出発点です.仮に,つまらない仕事しか見つからなかったとしても,その仕事が他の誰よりもうまくできるよう努めるべきです.独創性をもち,かつ恨み言をこぼすことなく,その仕事に打ち込むべきです.そうすれば,より高い可能性がそこから現れ出てくるでしょう.好きなことをしていると,「働かされている」と思わなくなるものです.(訳注・原文 “If you do what you love, you’ll never have to “work.” 心〈愛〉を込めて〈=主体性を持って・自主的に〉仕事をすることができるならば,誰かの管理下で使われ義務的強制的に働かねばならないと感じることには決してならない.)幸福とはなんでしょうか?一つの定義は「朝目覚めたとき,しなければならないことが自分の選んだことだと思える」ことではないでしょうか.
「自分の置かれた状況を正しく評価することです.同じような状況にいて,互いに補いあえる能力を持ち,考え方を共有できる仲間を見つけることです.数は力となります.一つの目標を共有するグループは,ひとりでは思いもよらない,実現不可能なプログラムの立ち上げを可能にします.」
文中の下線は私が加えたものです.もし私が間違っていれば幸いですが,早晩人々が取る行動のなかでの最優先課題は,いかに生き残るかという問題になるでしょう.ジェラルド・セレント氏はそこで役立つ考え方をいくつか示しています.むろん神に祈ることは必要で大切なことです.だが,古いことわざが言うように,岸辺へ向って漕(こ)ぎ続けることも大切です.
読者のみなさまに私から新年の祝福をお送りします.
キリエ・エレイソン.
英国ロンドンにて.
リチャード・ウィリアムソン司教
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「世の光」 “light of the world” 「地の塩」 “salt of the earth” についての訳注:
新約聖書(マテオによる福音書・第5章13-16節)より,イエズス・キリストの御言葉.
「あなたたちは地の塩である.塩がその味を失ってしまったら,何で塩の味をつけられようか.もう役にたたず,外に捨(す)てられて,人に踏(ふ)まれるばかりである.
あなたたちは世の光である.山の上にある町は隠(かく)しておけない.また灯(あか)りをともしたら,枡(ます)の下に入れないで,燭台(しょくだい)の上に置(お)くものだ.こうすれば,明(あ)かりは,部屋中の人をみな照(て)らし出してくれる.
このように,あなたたちも,人の前で光を輝かしなさい.そうすれば,人はあなたたちのよい行いを見て,天においでになる御父(おんちち)をあがめるであろう」.