2009年11月9日月曜日

フランクフルト・スクール

エレイソン・コメンツ 第122回 (2009年11月7日)

あるカリフォルニアの心理学教授による1960年代におけるアメリカ合衆国の左傾化の分析から,「西洋文明」の擁護者あるいは愛好者にとっての数々の貴重な教訓が抜粋できます.以下でアクセス可能です.http://www.theoccidentalobserver.net/articles/MacDonald-WheatlandII.html
ケビン・マクドナルド教授は,「ザ・フランクフルト・スクール・イン・エグザイル」(「国を逃れたフランクフルト・スクール」の意)に関する著書の中でなされている大衆文化に対する批評について論評しています.

フランクフルト・スクール(「フランクフルト学派」)はもっとよく世間に知られる必要があります.それは小規模だが高い影響力をもった非キリスト教識者団体で,ヒトラーが政権に就いた時ドイツからアメリカ合衆国へ逃がれ,志を同じくするニューヨークのトロツキー信奉者団体と結託して,その人数に全く不釣り合いなほど大きな影響力をふるい続けたのです.マクドナルド教授によれば,「伝統的英国系アメリカ人文化」から疎外されているという根深い感情から,彼らは家族に対して個人を,白人主導に対して多文化を,またあらゆる分野,特に芸術の伝統に対して近代主義を助長することによって英国系アメリカ文化に戦争を仕掛けたということです.「社会主義革命に対する熱望からテオドール・アドルノは,聴く者を不満足感や疎外感を味わわせたままにしておくような近代音楽 - 意識的に調和や予測可能性を避けた音楽 - を好むようになったのです.」 フランクフルト・スクールは「ソナタを生んだ秩序の終わり」を望んだのです.

フランクフルト・スクールは,アメリカ人の革命に対する願望の欠如を軽蔑し,人々の「消極性,現実逃避および体制順応主義」を,また,例えばハリウッドに道徳的規準を押し付ける保守団体のような,大衆文化を支配する「近頃の資本主義者」を非難した,と教授は言います。しかしながら,1960年代に,彼ら自身がマスメディア,数々の大学および政治を支配するようになると,大衆文化とハリウッドを最大限に食い物にして搾取し,人々の惰眠状態につけこんで左派(革新)傾向に揺れ動くように散々マスコミ操作を仕掛けたと言います.教授は結果的に生じた彼らの「白人の利益」,「白人の主体性」および「欧州の伝統的な民族と文化」に対する悪意ある攻撃を深く嘆いています.

マクドナルド教授はいくつかの点で的を得ています.例えば,フランクフルト・スクールが仕掛けた戦争は主として,左翼主義者が当初考えていたような,またいまだに多くのアメリカ人がそうだと考えているような,資本主義と共産主義との間におけるものではないということです.物質的な安楽は,それ以前同様に1960年代以降のアメリカの人々を眠らせてしまいました.また,規制されていようがいまいが,ハリウッドと文化は大衆の精神にかびを生やさせるのに巨大な役割を果たしています(「エレイソン・コメンツ」で文化の話題を頻繁に取り上げるのはこのためです).また,「伝統的な西洋文化」に対する意図的で決然たる意志を持った敵対者である,高い影響力を持つ小規模の団体が存在することは確かです.

しかし,「白人の利益」を守るためには,教授は上述したような白人の利益を超えたそれ以外の他の利益の部分にも目を向ける必要があります.本当の問題は宗教的な理由にあるのです.なぜ白人の欧州人は他人に施すほど多くのものをもっていたのでしょうか?それは,何世紀にもわたってカトリック信仰による神からの恩寵を最大限に得てきたからです.なぜこの小さな左翼団体はそれほど「西洋文化」を憎んだのでしょうか?それは,その(カトリック)信仰の遺物だからです.そして,なぜその小団体は1960年代以降これほどまでに強力になったのでしょうか?それは,第二バチカン公会議で行われたカトリック当局のカトリック信仰に対する裏切り行為について,同じ「白人」に主として責任があるからです.今日の左翼主義者の勝利は神からの正しい罰以上でも以下でもないのです.

教授,あなたは眠ってはいけません.さあ,ロザリオを手に取りましょう!

キリエ・エレイソン.

英国ロンドンにて.
リチャード・ウィリアムソン司教