エレイソン・コメンツ第128回(2009年12月19日)
クリスマスに良いニュースをお届けしましょう.12月11日付の英国の週刊紙「カトリック・ヘラルド」の記事から引用したものです.アメリカ合衆国からの報告によれば,現在の経済不況は夫婦の結婚生活を手助けしているそうです.今回の不況は2007年末から始まりました.その年,アメリカの離婚率は既婚女性1,000人につき17.5パーセントでした.その翌年は16.9パーセントでした.アメリカ人の言う「実社会生活上の苦境( “The School of Hard Knocks” )」は私たちに大きな痛手を負わせるものですが,私たちはそこから様々な教訓を確実に学び取ることができるものです!
「アメリカにおける結婚:我々の結束の状況2009年( “Marriage in America : The State of Our Unions 2009” )」というのがその報告書のタイトルです.報告書はバージニア大学のアメリカ人の価値観研究所( “Institute for American Values, University of Virginia” )と結婚・家族および全国婚姻計画センター( “Center for Marriage and Families and the National Marriage Project” )が共同でまとめたものです.同センター所長のブライアン・ウィルコックス氏によると,何百万人ものアメリカ人が「自家製の救済戦略」を選択し,「現在の難局を乗り切るため自分たちの夫婦関係や家族関係に依存し合っている」のだそうです.私たちの「(馬のいらない)新しい馬車( “new-fangled world” =自動車のこと)」の世界が破綻したことで,古い諺がいくつも復活しているというのです.たとえば,「どんな雲にも銀の内張りがある」( “Every cloud has a silver lining”.暗雲(=逆境)の縁などから差し込む陽光という意味.苦あれば楽あり.),「血は水よりも濃し」( “Blood is thick and water is thin” 苦境のときには他人よりも血の繋がった親兄弟の方が頼りになるということ.),「我が家に勝る所はない(=我が家が一番)」( “There’s no place like home”. )などなど.
ウィルコックス氏によって引用された経済危機が結婚した男女を助力しているということのもう一つの根拠は,多くの夫婦がクレジットカードによる借金からの解放を決断しているというものです.連邦準備制度理事会の報告によれば,アメリカ人は過去一年間でリボ払いの負債総額を900億ドル減らしたそうです.ウィルコックス氏は景気後退のためアメリカ人がますます食糧を自給自足でまかない,衣料を自力で作るか修理し,外食の頻度を減らすようになったことで「家庭経済」(“home economy”)が蘇ったと言っています.同氏は「多くのカップルは困難なときに結婚が生み出す経済的,社会的支援効果を再評価しているようだ」と述べています.
夫たちよ,男らしくなりなさい.そして妻に支えてもらいなさい.妻たちよ,あなたたちが生来持つ女性特有の天賦の才を誇りとしそれを楽しみなさい.それは男性が女性並みには決して持ち合わせていないものなのです.そして,夫を頼り夫から力と勇気をもらいなさい.男性は女性なしには普通はゼロです(そうです,ゼロです!).女性は男性なしには普通はゼロ以下だとさえ言ってもよく,言い換えれば未完のゼロないしは上が開いたU(アルファベット大文字の)です.しかし,Uを支えとしてゼロの真下に置けば,突然8が得られます!奇跡のメダイ ( “Miraculous Medal”.“Médaille Miraculeuse” (仏語).1830年,フランス・パリの聖ヴァンサン・ドゥ・ポールの愛徳姉妹会で当時修練女だった聖カトリーヌ・ラブレーに聖母マリアが現れ,このメダイを作って世界中の人々に(宗教人種等による一切の差別例外なく)配るように依頼した.聖母マリアは地球を手に持ちそれを高くかかげて神に捧げていた.メダイの絵柄はキリスト信者の信仰を象徴したもの.十字架とマリアのMの文字,槍で刺しぬかれた贖罪主キリストの心臓,剣で刺しぬかれた共贖者聖母マリアの心のシンボル(裏面)と聖母が神に取り次ぐ無数の恵みを示す光線(表面)が描かれ,聖マリア像の周りには「原罪なくして宿られ給いし聖マリア,あなたにより頼む私たちのためにお祈り下さい」と記されている.聖母御出現から2年後の1832年2月にパリで致命的なコレラが流行り2万人以上の死者を出すほどになった時,同会の修道女たちはこのメダイを人々に配り始めた.メダイを通して聖母にすがった多くの人々が聖母の保護と自らの回心によって疫病を癒され,聖母の言葉は瞬く間にパリ中に広がり,人々はこのメダイを「奇跡のメダイ」と呼んだ.[フランスの「奇跡のメダイの聖母聖堂」(聖母が御出現になった聖堂)公式ウェブサイトより引用.日本を含む世界中のカトリック教徒の間でこのメダイは厚く信心されている.信者でなくとも信じるならば例外なく必要な恵みを神に取り次いでいただける.当地の聖堂には世界主要各国語でのパンフレットが置かれている.例年現地の人も含め世界中から巡礼者が聖母に祈りを捧げに訪れる.聖堂には死後の腐敗を免れた聖カトリーヌ・ラブレーの遺体が安置されている.用語集にも情報を記載予定.] )の裏面には、私たちの主の十字架がマリアのMの上に配置されていないでしょうか?私たちの主はその受難の遂行を完全なものとして果たすために,持てるあらゆる神としての能力を完全に放棄したのです.しかし,主はその人間性(人間としての能力)だけで,つまり聖母からの人間的援助なしに,私たちの贖罪を果たし得たでしょうか?それは決して不可能です!
常識を弁えた経済学者はさほど多くいませんが,「おとぎの国( “la-la-land” )」に暮らしていないごく少数の経済学者たちは,今回の不況がさらに悪化すると見ています.母たちよ,家事全般のことを再学習して一家の切り盛りの仕方を身につけなさい.父たちよ,菜園作りを再学習して自力生活の仕方を身につけなさい.真理と現実を愛するすべての人たちよ,家族関係の絆だけでなく近所付き合いの絆も深めて互いに交流し合いなさい.私たちはこれから死活問題に直面するでしょう.これに対し,よほど本気になって真面目に方向性を変えない限り,私たちの政府やマスコミは決して助けてくれようとはしません.「私たちの助けは主の御名のうちに在る.」その主は一年のこの時期に無力な人間の嬰児の姿をとっておられます.だがこの無力な嬰児こそが全能の神なのです!
キリエ・エレイソン.
英国ロンドンにて.
リチャード・ウィリアムソン司教