エレイソン・コメンツ 第280回 (2012年11月24日)
数週間前,インターネットのウェブサイト「321gold」に私たちがいま住む世界についての素晴らしい描写(びょうしゃ)が掲載(けいさい)されました( "A marvellous portrait of our contemporary world appeared a few weeks ago on the Internet website, 321gold." ).その一文のタイトルは「低落(ていらく),腐敗(ふはい),否認(ひにん),妄想(もうそう),絶望(ぜつぼう)( "Decline, Decay, Denial, Delusion and Despair" )という恐ろしいものですが,中身はいたって現実に即(そく)したものです( "The title is daunting: “Decline, Decay, Denial, Delusion and Despair”, but the content is surely true to life." ).サイトの著者は,アメリカ東部のいたるところで見られる街の光景から話し始めたあと ( "Starting from a street scene to be found no doubt all over the eastern United States, …" ),今後15年以内に,私たちが望んだ理念から派生(はせい)した望みもしない副産物として,ジョージ・オーウェル風の独裁(どくさい) ( "Orwellian dictatorship" ) が同国を襲(おそ)うだろうと結論づけています ( "… he concludes that within 15 years an Orwellian dictatorship will descend upon his country as the unwanted effect of wanted causes." )
今やアメリカは全世界の典型となっているのではないでしょうか ( "But the USA is not typical of the whole world ? " )? 世界中の人々がアメリカの生活様式に不本意ながら従っています.「皆さんくれぐれも用心しましょう!」と著者は警告しています( "The whole world is buying into the American way of life. “Let the buyer beware” ! " ).
著者はこの秋,ニュージャージー州のワイルドウッドという町を訪れ,通りのいたるところで年齢50歳以下のぶくぶくに太った男女が大勢,政府の補助金で支給された電動カートに乗って動き回っている光景を目にしたそうです( "This autumn in the streets of Wildwood, New Jersey, the author observed pavements encumbered with a host of heavily overweight men and women under 50 years of age rolling around town on government-subsidized mobility scooters …" ).連中はファストフード店をはしごしながら砂糖のたっぷり入ったうまいもの( "sugar-laden goodies" )を食べ歩き,その結果さらに太り,乗っているカートが重さに耐えかねて悲鳴をあげているというのです( "… to visit one fast-food joint after another in order to gorge on sugar-laden goodies which would give their latest model scooters more work than ever." ).彼が連中につけたおかしな名前を想像できますか? ( "His amusing name for them ? " ) ― 「強力な移動度増強カートに乗っている太った身障者」というのです( " “The weight-challenged disabled on their powered mobility enhancement vehicles.” " ). これはまさしく差別語禁止からの逃げです( "Such is the flight from reality of “political correctness” and its language. " ).
著者はこの笑えない喜劇がどうやって生まれたのかを考え次のように述べています( "The author seeks causes for this tragic-comic effect : … " ).「かつて所得の12パーセントを貯蓄していたアメリカ人は誰に説き伏せられて借金まみれ,砂糖づけの生活スタイルに陥り,肥満度統計の上限からはみ出るほどになり,貯金は底をつき,子供や孫に耐えられないほどの借金の重荷を残すようになったのだろうか?」( "… how can the American people that once saved 12% of their income have been persuaded to frighten the obesity statistics off the end of the charts with a debt-laden, sugar-sodden way of life, with no more savings for themselves and with an unbearable burden of debt being bequeathed to their children and grand-children ? " )むろん彼らに自制心が欠けていたためだが,ほかにもっと邪悪な要因,つまり,これほど愚かな光景の裏にひそむ何らかの心理状況があるのではないか,と彼は言います( "Of course there is a lack of self-control on their part, he says, but there must be something more sinister, some mind behind such a mindless scene." ).現代の大衆操作術をマスターした目に見えない政府によって市民全体が操られていると言うのです( "He says the mass of citizens are being manipulated by an invisible government that has mastered the modern techniques of mass manipulation." ).
著者は1920年代に現れたそのようなマスターたちの先駆者(せんくしゃ)であるエドワード・バーネーズ( "Edward Barnays" )の次の言葉を引用しています( "He quotes a pioneer of these masters from the 1920’s, Edward Bernays: " ): 「意識的かつ賢明な大衆操作は民主主義社会における重要な要素である…( " “The conscious and intelligent manipulation of the masses is an important element in democratic society…" )… 膨大(ぼうだい)な数の人間がスムーズに機能する社会で共に生きるためには、彼らはそのような方法で協力しあわなければならない…( "…Vast numbers of human beings must cooperate in this manner if they are to live together as a smoothly functioning society…" )… 政治,ビジネス,社会的行動,倫理的思考のいずれにおいても,我々は比較的少数の人間によって支配される…( "… Whether in politics, business, social conduct or ethical thinking, we are dominated by the relatively small number of persons…" )… そして,その連中は大衆の心理的プロセス,社会的パターンをよくわきまえている( "…who understand the mental processes and social patterns of the masses.” " ).」彼らは「国の真の統治者」であり,「大衆心理を陰(かげ)で操(あやつ)る」と,バーネーズは言っています( " “ They are “the true ruling power of the country,” and they “pull the wires which control the public mind.” " ).連中の目的は何でしょうか? 自身の富と権力のためです( "For what purpose ? For their own wealth and power." ).
今日の財政,経済危機を自らの利益になるように仕組んだのはほかならぬ彼らです( "It is they who have organized today’s financial and economic crisis for their own benefit. " ).サイトの著者は次のように言っています.「彼らは世界経済を破綻(はたん)させ … ( "…They have “wrecked the world economy …" ) … 彼ら自身にとっては無価値の負債を納税者とまだ生まれていない世代に押し付け( "…shifted their worthless debt onto the backs of taxpayers and unborn generations, …" ),高齢者や貯蓄者から毎年4千億ドルの利子負担をかすめ取ってバスの下に放り出し( "…thrown senior citizens and savers under the bus by stealing $400 billion per year of interest from them, …" ),自らはバブル期のような利益とボーナスを得て懐(ふところ)を肥(こ)やしているのです( "…and enriched themselves with bubble-level profits and bonus payments.” " ).」そして,このような持続(じぞく)不可能な生活様式に終止符(しゅうしふ)を打たなければならなくなったとたんに,目に見えない支配者たちが私たちに用意したものは何かと言えば( "…And when the plug has to be pulled on this unsustainable way of life, then our invisible masters have prepared for us…" ),何百万発の銃弾で武装された警察を使った1984年の「涙の独裁」( "…a 1984 “dictatorship of tears” with militarized police with millions of bullets, …" ),いたるところに配備された監視カメラ,無人飛行機( "…surveillance cameras and drones everywhere, …" ),罪状のないままの投獄,等々だというのです( "…imprisonment without charges and so on and so on." ).だが,著者はこうした事態を招いた原因は,真実より無知を,健康より病(やまい)を,批判的な考え方よりマスメディアの嘘(うそ)を,自由より安全を選択した市民自身の間違いにあると言っています( "Yet, says the author, it is the citizens’ own fault who have preferred ignorance to truth, sickness to health, media lies to critical thinking, security to liberty." ).
彼の称賛に値する分析にただ一つ欠けているものがあります( "There is only one thing lacking to this admirable analysis: " ): 十戒にあるように,私たちすべてが死に際して審判(しんぱん)を受ける神の存在を少しでも心にとどめていれば,支配するエリートがこれほど横暴(おうぼう)になり,支配される大衆がこれほど口をつぐんできただろうかという疑問です( "could our governing elite have run so wild, or our masses have turned so dumb, if either had retained the least sense of a God who judges us all at death, according to Ten Commandments ? " ). 答えはもちろんノーです( "Of course not. " ).カトリック信徒の皆さん,目を覚ましましょう!( "Catholics, wake up ! " )
キリエ・エレイソン.
英国ロンドンにて.
リチャード・ウィリアムソン司教
* * *
2012年11月25日日曜日
2012年2月9日木曜日
238 不良金融 -2- (2/4)
エレイソン・コメンツ 第238回 (2012年2月4日)
今日,不良金融は宗教的な意味合いをおびています.なぜなら,それは各自が自覚しているかどうかは別にして神の敵たちが全世界を隷属化(れいぞくか)させる上で重要な役割を果たしており,その中の最もずる賢いものたちは自分たちの究極の目的が(金欲のとりことされた)すべての霊魂を地獄に落とすことであることを十分承知しているに違いないからです.だが,彼らの金融機構(きんゆうきこう, “financial machinery” )の個々の機能に触れる前に,昨年10月29日付の「エレイソン・コメンツ」(訳注・第224回)で初めてご紹介した小額準備銀行の債務不履行性の全貌(ぜんぼう)( “the full delinquency of fractional reserve banking” )を理解する必要があります.
小額準備銀行とは,銀行が流通(りゅうつう)させている金(かね)のごく一部だけを準備金として保有し,顧客への預金払い戻しに備えていればいいことを意味します.この制度は中世後期に欧州で始まりました.銀行業者たちが預金として例えば金(きん)100オンスを預かり,所有者に同量の金の払い戻しが請求できるとことを証明する紙片(しへん)100枚を出しても,その後,例えば10人以上の顧客が一度に証書を持参して金の払い戻しを請求することはほとんどないと気づいたのがきっかけでした.そして,銀行が証書と引き換えにいつでも金を払い戻すと人々が信用する限り,その紙片はめでたく金銭としての役割を果たしうるようになり,人々の間で紙幣(しへい)として流通することになるわけです.
ところが,銀行家たちはやがて通常の営業では証書100通に備えるには金を10オンスだけ保有すれば十分,あるいは,100オンスの金を保有するなら証書を1,000通発行できると気づきました.この1,000通のうち900通は何の裏付けもないものです.それは銀行が何の裏付けもなしに造り出した「おかしなお金 “funny money” 」なのですが,10人の顧客のうちの一人以上が証書を現金化しようと望まない限り問題にならないと思われていたのです.
もし10人に一人以上が現金化しようとすれば,銀行はすべての証書と引き換えに払い戻す金がないわけです.そうなると銀行は払い戻しのため急きょどこかで金を借りてくるか,預金者はひどい信用詐欺(しんようさぎ, “a confidence trick” )に引っ掛かってしまったと思い知るかのいずれかでしょう.銀行に対する信用がひとたび消えてしまえば,誰もが自分のお金を即刻(そっこく)取り戻したいと望むでしょう ―銀行は少額準備金制度だけにより運営可能なのです― そして多数の顧客は無価値と化した紙切れを手にしたまま取り残されることになるでしょう.その銀行は当然倒産し,そんなものは完全に姿を消してもらいたいと誰もが望むことでしょう.
このように,少額準備金制度のあるところではどこでも銀行は本質的に脆弱(ぜいじゃく)であり,究極的には顧客に対して信用詐欺を働いているのです.外的には,銀行は多くの場合,必要な時に備えて中央銀行 “a central bank” から支援保証 “a guarantee of support” を取り付け自身を保護しているでしょう.その保証は保証人 “the guarantor” (中央銀行)の信用度分だけしか確実ではないわけですが,保証を与えている間すべての中央銀行に危険な権限 “a dangerous power” を与えます.これは不良金融のもう一つの側面ですが,これより複利システムの方 “that of compound interest” を優先して考えなければなりません.
金融制度では権力がかかっており,究極的にはすべての人間の霊魂の行方(ゆくえ)がかかっているのです( “Power is at stake, and ultimately souls”. ).こうした問題が宗教とは何の関係もないと,誰にも言えません.あの金の子牛 “the Golden Calf” のことを考えてみてください.(訳注後記)
キリエ・エレイソン.
英国ロンドンにて.
リチャード・ウィリアムソン司教
* * *
第6パラグラフの訳注:
「金の子牛」について
旧約聖書・脱出の書の参照:(後から掲載いたします)
Scriptural reference:
THE BOOK OF EXODUS of THE OLD TESTAMENT (THE HOLY BIBLE, DOUAY-RHEIMS VERSION).
第31章12節 ー 35章29節
XXXI (31) , 12 - XXXV (35) , 29.
* * *
今日,不良金融は宗教的な意味合いをおびています.なぜなら,それは各自が自覚しているかどうかは別にして神の敵たちが全世界を隷属化(れいぞくか)させる上で重要な役割を果たしており,その中の最もずる賢いものたちは自分たちの究極の目的が(金欲のとりことされた)すべての霊魂を地獄に落とすことであることを十分承知しているに違いないからです.だが,彼らの金融機構(きんゆうきこう, “financial machinery” )の個々の機能に触れる前に,昨年10月29日付の「エレイソン・コメンツ」(訳注・第224回)で初めてご紹介した小額準備銀行の債務不履行性の全貌(ぜんぼう)( “the full delinquency of fractional reserve banking” )を理解する必要があります.
小額準備銀行とは,銀行が流通(りゅうつう)させている金(かね)のごく一部だけを準備金として保有し,顧客への預金払い戻しに備えていればいいことを意味します.この制度は中世後期に欧州で始まりました.銀行業者たちが預金として例えば金(きん)100オンスを預かり,所有者に同量の金の払い戻しが請求できるとことを証明する紙片(しへん)100枚を出しても,その後,例えば10人以上の顧客が一度に証書を持参して金の払い戻しを請求することはほとんどないと気づいたのがきっかけでした.そして,銀行が証書と引き換えにいつでも金を払い戻すと人々が信用する限り,その紙片はめでたく金銭としての役割を果たしうるようになり,人々の間で紙幣(しへい)として流通することになるわけです.
ところが,銀行家たちはやがて通常の営業では証書100通に備えるには金を10オンスだけ保有すれば十分,あるいは,100オンスの金を保有するなら証書を1,000通発行できると気づきました.この1,000通のうち900通は何の裏付けもないものです.それは銀行が何の裏付けもなしに造り出した「おかしなお金 “funny money” 」なのですが,10人の顧客のうちの一人以上が証書を現金化しようと望まない限り問題にならないと思われていたのです.
もし10人に一人以上が現金化しようとすれば,銀行はすべての証書と引き換えに払い戻す金がないわけです.そうなると銀行は払い戻しのため急きょどこかで金を借りてくるか,預金者はひどい信用詐欺(しんようさぎ, “a confidence trick” )に引っ掛かってしまったと思い知るかのいずれかでしょう.銀行に対する信用がひとたび消えてしまえば,誰もが自分のお金を即刻(そっこく)取り戻したいと望むでしょう ―銀行は少額準備金制度だけにより運営可能なのです― そして多数の顧客は無価値と化した紙切れを手にしたまま取り残されることになるでしょう.その銀行は当然倒産し,そんなものは完全に姿を消してもらいたいと誰もが望むことでしょう.
このように,少額準備金制度のあるところではどこでも銀行は本質的に脆弱(ぜいじゃく)であり,究極的には顧客に対して信用詐欺を働いているのです.外的には,銀行は多くの場合,必要な時に備えて中央銀行 “a central bank” から支援保証 “a guarantee of support” を取り付け自身を保護しているでしょう.その保証は保証人 “the guarantor” (中央銀行)の信用度分だけしか確実ではないわけですが,保証を与えている間すべての中央銀行に危険な権限 “a dangerous power” を与えます.これは不良金融のもう一つの側面ですが,これより複利システムの方 “that of compound interest” を優先して考えなければなりません.
金融制度では権力がかかっており,究極的にはすべての人間の霊魂の行方(ゆくえ)がかかっているのです( “Power is at stake, and ultimately souls”. ).こうした問題が宗教とは何の関係もないと,誰にも言えません.あの金の子牛 “the Golden Calf” のことを考えてみてください.(訳注後記)
キリエ・エレイソン.
英国ロンドンにて.
リチャード・ウィリアムソン司教
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第6パラグラフの訳注:
「金の子牛」について
旧約聖書・脱出の書の参照:(後から掲載いたします)
Scriptural reference:
THE BOOK OF EXODUS of THE OLD TESTAMENT (THE HOLY BIBLE, DOUAY-RHEIMS VERSION).
第31章12節 ー 35章29節
XXXI (31) , 12 - XXXV (35) , 29.
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2011年11月30日水曜日
227 金融問題の解決 (11/19)
エレイソン・コメンツ 第227回 (2011年11月19日)
現在,多数の評論家が世界の金融システムが崩壊の瀬戸際(せとぎわ)にあると書いたり述べたりしています.その時がいつ来るのか誰もはっきり分かっていないようですが,多くはそれがとてつもない崩壊(ほうかい)になるだろうと予測しています.だが,2008年に金融危機が起きる前は,その到来(とうらい)を予期していた人はごく少数でした.人々はしっかり根付いていて前進あるのみと思えていた自らの生活様式に満足していたからです.しかし,評論家の言うことが正しいとすれば,崩壊は間もなく起きることでしょう.
私たちは皆,一体なにが間違っていたのか,どうすればそれを正せるのかを改めて考えてみるべきです.以下にご紹介するのはバーニング・プラットフォーム “Burning Platform” というウェブサイトに最近掲載された記事から抜粋(ばっすい)した実務的な提案です.私は必ずしも皆さんが個々の提案に賛同し,私たちの壊(こわ)れてしまったシステムにとって代わるものが何かを考えるべきと言っているわけではありません.提案は政治にかかわるものと金融にかかわるものに分かれています.金融の方から始めます:--
*「破たんさせるには大きすぎ」 ( “Too Big to Fail” ),それゆえ国を盾にとり身代金(みのしろきん)を要求する “hold the State to ransom” ような銀行はすべて国営化すべきです.その結果生じる損失は責任者,当事者が払うべきで,納税者に負わせるべきではありません.
*(米国の)グラス・スティーガル法 “the Glass-Steagall Act” を復活させ,銀行が再び巨大化するのを防ぐべきです.
*営業・会計規則に望ましい基準を再設定し,銀行が自ら保有する資産価値が市場価値を上回るように見せかけることをやめさせるべきです.
*デリバティブ市場 “the derivatives market” を規制し,金融機関 “financial entity” が巨大化することでひとたびそれが破産するとシステム全体が崩壊するようになることを防ぐべきです(かつての米国で AIG の破たんで同じようなことが起きました).
*現在のわずらわしい所得税 “income tax” 制度を簡素化するか廃止し,消費税“consumer tax” に一本化すべきです.そして,法人税の節税措置 “corporate tax breaks” を廃止すべきです.
提案はいずれも直接的には金融にかかわるもの “…such proposals may be explicitly financial,” ですが,間接的には政治にかかわる “are implicitly political,” 点にご留意ください.というのは,提案の実現には国民全般,とりわけ指導者の政治的考え方が大きく変わることが必要だからです.( “…because to be put into practice they would need a significant change in the political way of thinking of the people and especially of the leaders”.)金融は政治いかんで決まります. ( “Finance depends on politics.” ) つぎに,明らかに政治にかかわる提案を見てみましょう.中には反論を呼ぶ提案もありますが、少なくとも正しい方向を示しています:--
*あまりにもうまくやっている政治家の腐敗(ふはい) “the corruption of too comfortable politicians” を食い止めるため,彼らの任期に厳しい制限をつけましょう.特殊な利益団体による選挙の腐敗 “the corruption of elections by special interests” を食い止めるため,陳情(ちんじょう)やロビイスト “lobbyists” を排除しましょう.
*中央銀行が持つ力 “the power of the central bank” を弱めるため,国の通貨供給 “the nation’s money supply” をコントロールする権限を取り上げましょう.
*米国の福祉給付金制度 “welfare benefits” を再編成すべきです.現在の制度は国の財政 “States’ finances” を急速に枯渇(こかつ)させており,このままでは将来だれの役にも立たなくなくなるでしょう.
*お金や物がなくとも楽しくやっていくよう,生活水準の低下 “a lower standard of living” も受け入れるよう国民を再指導しましょう.そうすれば社会を食い潰(くいつぶ)して無に陥(おとしい)れる “spending society into oblivion” かわりに貯蓄によって社会を立て直す “build it by saving” ことができるでしょう.
*郊外へのスプロール現象 “suburban sprawl” をより自給可能な居住区 “more self-sufficient communities” で代替させるべく実行可能なことから始めましょう.
*たとえば世界各地の軍事基地に駐屯する数万もの兵士を引き揚げることで “by bringing thousands of troops home from their bases all over the world”, 米国の巨額な軍事費 “the enormous military spending of the USA” を削減できるようにするため世界帝国の考え方を放棄(ほうき)“Renounce world empire” しましょう.
もう一度繰り返しますが,こうした提案が実現するには,人々,とりわけ指導者たちの考え方が大きく変わらなければなりません “…they require great changes in the people’s way of thinking, especially in that of the leaders.” . 政治家が何を決定するかはその国の国民がなにをもっとも価値あるものと考えるかによって決まります “Political decisions depend on what people value more, or most.” . 私たちが生きるのはなんのためでしょうか? “Why are we alive ?” この世で楽しむためでしょうか,それとも永遠に続く真の幸福のためでしょうか? “To enjoy on earth, or to be truly happy for eternity ?” この質問への答えは二者択一(にしゃたくいつ)でしょうか? “Is that an either-or question ?” 永遠とは存在するのでしょうか? “Is there an eternity ?” こう考えてくると,政治は宗教によるか,あるいは宗教の欠如(けつじょ)によるところ大です( “Thus politics depend on religion, or on the lack of it.” ). 今日起きる金融制度の崩壊がはたして人々の目を覚(さ)ますことになるでしょうか? (訳注後記)
キリエ・エレイソン.
英国ロンドンにて.
リチャード・ウィリアムソン司教
* * *
最後のパラグラフの訳注:
原文・“Will today even a financial crash bring anyone to their senses ?”
「今日の金融制度の破綻(はたん)をきっかけに,人々が正気に返る(迷い〈迷夢〉から覚める)でしょうか?」
(解説)
◎「拝金主義」は競争と不安の種であって,最終的に誰をも幸福にしない.
◎ 人間の真の幸福は「平和な(安らかな)心や精神状態」のうちに存在するのであり,それは現世でも来世でも同じことである.
→ 新約聖書・マテオによる聖福音書:第6章19-34節参照.
THE HOLY GOSPEL OF JESUS CHRIST, ACCORDING TO ST. MATTHEW, 6:19-34
天の宝(6・19-21)
『自分のためにこの世に宝を積むな.ここではしみと虫が食い,盗人が穴をあけて盗み出す.
むしろ自分のために天に宝を積め.そこではしみも虫もつかず,盗人が穴をあけて盗み出すこともない.
あなたの宝のあるところには,あなたの心もある.』
清い目と心(6・22-23)
『*¹体の明かりは目である.目がよければ全身が明るい.目が悪ければ全身が闇(やみ)の中にいる.あなたの内の光が闇ならその闇はどんなに暗かろう.』
二人の主人,思い煩い,摂理(6・24-34)
『*²人は二人の主人に仕えるわけにはいかぬ.一人を憎んでもう一人を愛するか,一人に従ってもう一人をうとんじるかである.
神と*³マンモンとにともに仕えることはできぬ.
だから私は言う,命のために何を食べようか,何を飲もうか,また体のために何を着ようかなどと心配するな.命は食べ物にまさり,体は衣服にまさるものである.
空の鳥を見よ.播(ま)きも,刈(か)りも,倉に納(おさ)めもせぬに,天の父はそれを養なわれる.あなたたちは鳥よりもはるかに優れたものではないか.あなたたちがどんなに心配しても,*⁴寿命をただの一尺さえ長くはできぬ.
なぜ衣服のために心を煩(わずら)わすのか.
野のゆりがどうして育つかを見よ.苦労もせず紡(つむ)ぎもせぬ.私は言う,ソロモンの栄華のきわみにおいてさえ,このゆりの一つほどの装(よそお)いもなかった.
*⁵今日は野にあり明日はかまどに投げいれられる草をさえ,神はこのように装おわせられる.ましてあなたたちによくしてくださらぬわけがあろうか.
信仰うすい人々よ.何を食べ,何を飲み,何を着ようかと心配するな.それらはみな異邦人(=神を信じない人,神の摂理に信頼しない人)が切に望むことである.
天の父はあなたたちにそれらがみな必要なことを知っておられる.
だから,まず神の国とその正義を求めよ.そうすれば,それらのものも加えて与えられる.
明日のために心配するな.明日は明日が自分で心配する.一日の苦労は一日で足りる.』
(注釈)
*¹ (22-23節) 明かりが全身を照らすのと同じく,内なる目は人間のすべての行為を照らす.内なる目が欲望にくらまされているならば,人間の道徳生活は闇(やみ)である.
*² 富を有して神に仕えることもできるが,富の奴隷になれば神に仕えない.
*³ マンモンとはカルダイ語で富のこと.
*⁴「身の丈(たけ)」という訳もある.
*⁵ (30-34節)イエズスは将来への予備と働きを禁ずるのではない.ただ摂理(せつり)への信頼を裏切らせるほどの思い煩いを禁ずる.
「摂理」について:
・=神.天地の創造主たる神が,神の法(=神の十戒・自然法=慈愛・正義・生命の法.)において永遠の計画と配慮のもとに万物を支配し治めておられることを指す.
・「神意,神のみ旨(むね),神の御意志,神の御心」
・Providentia divina(ラテン語),Providence(英語)
◎ 限界のある人間の力だけで,あくせくかき集めようとしたり,欲を張ったりせずに,人間の創造主であられる無限(=永遠)の父なる神に信頼し,真面目に善良に,正しく慈悲深い行いを心がけて生活をするなら,必要なものは全て神から必ず備えられる.
なぜなら,神はすべての人間の天の御父であられ,どんな人間をも(善人をも悪人をも)愛しておられるからである.人間が地上に生きる限り,たとえどんな人であっても神は決してお見捨てになることはない.
神を愛しその御子キリストの名を信じる人は,永遠の生命をすでに現世で持っている(ヨハネ聖福音書:第1章12-13節,ヨハネの第一の手紙:第5章13節参照).
限りある現世で善良に生きた人には,限りのない来世で神がその霊魂を引き取られ,永遠の至福をお与えになる.
◎ したがって,人間の真の幸福追求の目当てとしては「拝金主義」(=「すべて金〈カネ〉次第」とか,「金を目安に決めること」)は見当違いな手段である.
* * *
→ 旧約聖書・詩篇:第127篇参照.
THE BOOK OF PSALMS, PSALM 126
摂理によりたのむ
『*¹上京の歌.ソロモンの作.
主が家を建てられないなら,
それを造る者の働きはむなしい.
主が町を守られないなら,
番人の警戒はむなしい.
早く起き,寝るのを遅らせ,
労苦のパンを食べることもむなしい.
主は愛する者に,それを与えられる,
彼らが寝ている間に.
見よ,子らは主の贈り物,
胎の実は主の報いである.
若いときの子らは,
つわものの手にある矢のようだ.
幸せなのはその矢で,
矢筒を満たした者.
*²門で敵と争うとき,
彼らは恥を受けない.』
(注釈)
*¹ 神の助けがなければ,人間の労苦といえど何一つ実をもたらさない.
*² 町の門では裁判や話し合いが行われていた.
* * *
→ 旧約聖書・格言の書:第10章参照(抜粋).
THE BOOK OF PROVERBS,
THE PARABLES OF SOLOMON, CHAPTER 10
『不正な方法で得た宝は身のためにならぬが,
正義は人を死から救い上げる.』 (2節)
『神は正しい人の望みをかなえ,
悪人の欲望をとげさせない.』 (3節)
『怠け者の手は人を貧乏にし,
働き者の手は人を金持ちにする.
夏の間に集めるのは利功者であり,
収穫のときに寝ているのは恥知らずである.』 (4-5節)
『正しい人のもうけは生活に役立ち,
悪人のもうけは悪事を呼ぶ.』 (16節)
『教えを守る人は生命の道を行き,
戒めを軽んじる人は道を迷う.』 (17節)
『*¹正しい人のくちびるは多くの人を養い,
愚かな人は貧しい中で死ぬ.』 (21節)
『神の祝福は人を富ませ,
その上に何の苦労も加えない.』 (22節)
『愚かな人は悪事を行って楽しみ,
利功者は知恵をつちかって楽しむ.』 (23節)
『悪人の恐れていることはその身に起こり,
正しい人の望みはかなえられる.』 (24節)
『嵐が過ぎたとき,悪人はもういないが,
正しい人はいつも立っている.』 (25節)
『神は正しい人の砦(とりで)であり,
悪人にとっては滅びである.』 (29節)
『正しい人は決してゆらがないが,
悪人は地に住めない.』 (30節)
『正しい人のくちびるは慈愛をしたたらせ,
悪人の口は悪をまく.』 (32節)
(注釈)
徳の幸福(10・22-32)
*¹ 正しい人は,自分だけでなく他人のためにも役立つ人である.
* * *
現在,多数の評論家が世界の金融システムが崩壊の瀬戸際(せとぎわ)にあると書いたり述べたりしています.その時がいつ来るのか誰もはっきり分かっていないようですが,多くはそれがとてつもない崩壊(ほうかい)になるだろうと予測しています.だが,2008年に金融危機が起きる前は,その到来(とうらい)を予期していた人はごく少数でした.人々はしっかり根付いていて前進あるのみと思えていた自らの生活様式に満足していたからです.しかし,評論家の言うことが正しいとすれば,崩壊は間もなく起きることでしょう.
私たちは皆,一体なにが間違っていたのか,どうすればそれを正せるのかを改めて考えてみるべきです.以下にご紹介するのはバーニング・プラットフォーム “Burning Platform” というウェブサイトに最近掲載された記事から抜粋(ばっすい)した実務的な提案です.私は必ずしも皆さんが個々の提案に賛同し,私たちの壊(こわ)れてしまったシステムにとって代わるものが何かを考えるべきと言っているわけではありません.提案は政治にかかわるものと金融にかかわるものに分かれています.金融の方から始めます:--
*「破たんさせるには大きすぎ」 ( “Too Big to Fail” ),それゆえ国を盾にとり身代金(みのしろきん)を要求する “hold the State to ransom” ような銀行はすべて国営化すべきです.その結果生じる損失は責任者,当事者が払うべきで,納税者に負わせるべきではありません.
*(米国の)グラス・スティーガル法 “the Glass-Steagall Act” を復活させ,銀行が再び巨大化するのを防ぐべきです.
*営業・会計規則に望ましい基準を再設定し,銀行が自ら保有する資産価値が市場価値を上回るように見せかけることをやめさせるべきです.
*デリバティブ市場 “the derivatives market” を規制し,金融機関 “financial entity” が巨大化することでひとたびそれが破産するとシステム全体が崩壊するようになることを防ぐべきです(かつての米国で AIG の破たんで同じようなことが起きました).
*現在のわずらわしい所得税 “income tax” 制度を簡素化するか廃止し,消費税“consumer tax” に一本化すべきです.そして,法人税の節税措置 “corporate tax breaks” を廃止すべきです.
提案はいずれも直接的には金融にかかわるもの “…such proposals may be explicitly financial,” ですが,間接的には政治にかかわる “are implicitly political,” 点にご留意ください.というのは,提案の実現には国民全般,とりわけ指導者の政治的考え方が大きく変わることが必要だからです.( “…because to be put into practice they would need a significant change in the political way of thinking of the people and especially of the leaders”.)金融は政治いかんで決まります. ( “Finance depends on politics.” ) つぎに,明らかに政治にかかわる提案を見てみましょう.中には反論を呼ぶ提案もありますが、少なくとも正しい方向を示しています:--
*あまりにもうまくやっている政治家の腐敗(ふはい) “the corruption of too comfortable politicians” を食い止めるため,彼らの任期に厳しい制限をつけましょう.特殊な利益団体による選挙の腐敗 “the corruption of elections by special interests” を食い止めるため,陳情(ちんじょう)やロビイスト “lobbyists” を排除しましょう.
*中央銀行が持つ力 “the power of the central bank” を弱めるため,国の通貨供給 “the nation’s money supply” をコントロールする権限を取り上げましょう.
*米国の福祉給付金制度 “welfare benefits” を再編成すべきです.現在の制度は国の財政 “States’ finances” を急速に枯渇(こかつ)させており,このままでは将来だれの役にも立たなくなくなるでしょう.
*お金や物がなくとも楽しくやっていくよう,生活水準の低下 “a lower standard of living” も受け入れるよう国民を再指導しましょう.そうすれば社会を食い潰(くいつぶ)して無に陥(おとしい)れる “spending society into oblivion” かわりに貯蓄によって社会を立て直す “build it by saving” ことができるでしょう.
*郊外へのスプロール現象 “suburban sprawl” をより自給可能な居住区 “more self-sufficient communities” で代替させるべく実行可能なことから始めましょう.
*たとえば世界各地の軍事基地に駐屯する数万もの兵士を引き揚げることで “by bringing thousands of troops home from their bases all over the world”, 米国の巨額な軍事費 “the enormous military spending of the USA” を削減できるようにするため世界帝国の考え方を放棄(ほうき)“Renounce world empire” しましょう.
もう一度繰り返しますが,こうした提案が実現するには,人々,とりわけ指導者たちの考え方が大きく変わらなければなりません “…they require great changes in the people’s way of thinking, especially in that of the leaders.” . 政治家が何を決定するかはその国の国民がなにをもっとも価値あるものと考えるかによって決まります “Political decisions depend on what people value more, or most.” . 私たちが生きるのはなんのためでしょうか? “Why are we alive ?” この世で楽しむためでしょうか,それとも永遠に続く真の幸福のためでしょうか? “To enjoy on earth, or to be truly happy for eternity ?” この質問への答えは二者択一(にしゃたくいつ)でしょうか? “Is that an either-or question ?” 永遠とは存在するのでしょうか? “Is there an eternity ?” こう考えてくると,政治は宗教によるか,あるいは宗教の欠如(けつじょ)によるところ大です( “Thus politics depend on religion, or on the lack of it.” ). 今日起きる金融制度の崩壊がはたして人々の目を覚(さ)ますことになるでしょうか? (訳注後記)
キリエ・エレイソン.
英国ロンドンにて.
リチャード・ウィリアムソン司教
* * *
最後のパラグラフの訳注:
原文・“Will today even a financial crash bring anyone to their senses ?”
「今日の金融制度の破綻(はたん)をきっかけに,人々が正気に返る(迷い〈迷夢〉から覚める)でしょうか?」
(解説)
◎「拝金主義」は競争と不安の種であって,最終的に誰をも幸福にしない.
◎ 人間の真の幸福は「平和な(安らかな)心や精神状態」のうちに存在するのであり,それは現世でも来世でも同じことである.
→ 新約聖書・マテオによる聖福音書:第6章19-34節参照.
THE HOLY GOSPEL OF JESUS CHRIST, ACCORDING TO ST. MATTHEW, 6:19-34
天の宝(6・19-21)
『自分のためにこの世に宝を積むな.ここではしみと虫が食い,盗人が穴をあけて盗み出す.
むしろ自分のために天に宝を積め.そこではしみも虫もつかず,盗人が穴をあけて盗み出すこともない.
あなたの宝のあるところには,あなたの心もある.』
清い目と心(6・22-23)
『*¹体の明かりは目である.目がよければ全身が明るい.目が悪ければ全身が闇(やみ)の中にいる.あなたの内の光が闇ならその闇はどんなに暗かろう.』
二人の主人,思い煩い,摂理(6・24-34)
『*²人は二人の主人に仕えるわけにはいかぬ.一人を憎んでもう一人を愛するか,一人に従ってもう一人をうとんじるかである.
神と*³マンモンとにともに仕えることはできぬ.
だから私は言う,命のために何を食べようか,何を飲もうか,また体のために何を着ようかなどと心配するな.命は食べ物にまさり,体は衣服にまさるものである.
空の鳥を見よ.播(ま)きも,刈(か)りも,倉に納(おさ)めもせぬに,天の父はそれを養なわれる.あなたたちは鳥よりもはるかに優れたものではないか.あなたたちがどんなに心配しても,*⁴寿命をただの一尺さえ長くはできぬ.
なぜ衣服のために心を煩(わずら)わすのか.
野のゆりがどうして育つかを見よ.苦労もせず紡(つむ)ぎもせぬ.私は言う,ソロモンの栄華のきわみにおいてさえ,このゆりの一つほどの装(よそお)いもなかった.
*⁵今日は野にあり明日はかまどに投げいれられる草をさえ,神はこのように装おわせられる.ましてあなたたちによくしてくださらぬわけがあろうか.
信仰うすい人々よ.何を食べ,何を飲み,何を着ようかと心配するな.それらはみな異邦人(=神を信じない人,神の摂理に信頼しない人)が切に望むことである.
天の父はあなたたちにそれらがみな必要なことを知っておられる.
だから,まず神の国とその正義を求めよ.そうすれば,それらのものも加えて与えられる.
明日のために心配するな.明日は明日が自分で心配する.一日の苦労は一日で足りる.』
(注釈)
*¹ (22-23節) 明かりが全身を照らすのと同じく,内なる目は人間のすべての行為を照らす.内なる目が欲望にくらまされているならば,人間の道徳生活は闇(やみ)である.
*² 富を有して神に仕えることもできるが,富の奴隷になれば神に仕えない.
*³ マンモンとはカルダイ語で富のこと.
*⁴「身の丈(たけ)」という訳もある.
*⁵ (30-34節)イエズスは将来への予備と働きを禁ずるのではない.ただ摂理(せつり)への信頼を裏切らせるほどの思い煩いを禁ずる.
「摂理」について:
・=神.天地の創造主たる神が,神の法(=神の十戒・自然法=慈愛・正義・生命の法.)において永遠の計画と配慮のもとに万物を支配し治めておられることを指す.
・「神意,神のみ旨(むね),神の御意志,神の御心」
・Providentia divina(ラテン語),Providence(英語)
◎ 限界のある人間の力だけで,あくせくかき集めようとしたり,欲を張ったりせずに,人間の創造主であられる無限(=永遠)の父なる神に信頼し,真面目に善良に,正しく慈悲深い行いを心がけて生活をするなら,必要なものは全て神から必ず備えられる.
なぜなら,神はすべての人間の天の御父であられ,どんな人間をも(善人をも悪人をも)愛しておられるからである.人間が地上に生きる限り,たとえどんな人であっても神は決してお見捨てになることはない.
神を愛しその御子キリストの名を信じる人は,永遠の生命をすでに現世で持っている(ヨハネ聖福音書:第1章12-13節,ヨハネの第一の手紙:第5章13節参照).
限りある現世で善良に生きた人には,限りのない来世で神がその霊魂を引き取られ,永遠の至福をお与えになる.
◎ したがって,人間の真の幸福追求の目当てとしては「拝金主義」(=「すべて金〈カネ〉次第」とか,「金を目安に決めること」)は見当違いな手段である.
* * *
→ 旧約聖書・詩篇:第127篇参照.
THE BOOK OF PSALMS, PSALM 126
摂理によりたのむ
『*¹上京の歌.ソロモンの作.
主が家を建てられないなら,
それを造る者の働きはむなしい.
主が町を守られないなら,
番人の警戒はむなしい.
早く起き,寝るのを遅らせ,
労苦のパンを食べることもむなしい.
主は愛する者に,それを与えられる,
彼らが寝ている間に.
見よ,子らは主の贈り物,
胎の実は主の報いである.
若いときの子らは,
つわものの手にある矢のようだ.
幸せなのはその矢で,
矢筒を満たした者.
*²門で敵と争うとき,
彼らは恥を受けない.』
(注釈)
*¹ 神の助けがなければ,人間の労苦といえど何一つ実をもたらさない.
*² 町の門では裁判や話し合いが行われていた.
* * *
→ 旧約聖書・格言の書:第10章参照(抜粋).
THE BOOK OF PROVERBS,
THE PARABLES OF SOLOMON, CHAPTER 10
『不正な方法で得た宝は身のためにならぬが,
正義は人を死から救い上げる.』 (2節)
『神は正しい人の望みをかなえ,
悪人の欲望をとげさせない.』 (3節)
『怠け者の手は人を貧乏にし,
働き者の手は人を金持ちにする.
夏の間に集めるのは利功者であり,
収穫のときに寝ているのは恥知らずである.』 (4-5節)
『正しい人のもうけは生活に役立ち,
悪人のもうけは悪事を呼ぶ.』 (16節)
『教えを守る人は生命の道を行き,
戒めを軽んじる人は道を迷う.』 (17節)
『*¹正しい人のくちびるは多くの人を養い,
愚かな人は貧しい中で死ぬ.』 (21節)
『神の祝福は人を富ませ,
その上に何の苦労も加えない.』 (22節)
『愚かな人は悪事を行って楽しみ,
利功者は知恵をつちかって楽しむ.』 (23節)
『悪人の恐れていることはその身に起こり,
正しい人の望みはかなえられる.』 (24節)
『嵐が過ぎたとき,悪人はもういないが,
正しい人はいつも立っている.』 (25節)
『神は正しい人の砦(とりで)であり,
悪人にとっては滅びである.』 (29節)
『正しい人は決してゆらがないが,
悪人は地に住めない.』 (30節)
『正しい人のくちびるは慈愛をしたたらせ,
悪人の口は悪をまく.』 (32節)
(注釈)
徳の幸福(10・22-32)
*¹ 正しい人は,自分だけでなく他人のためにも役立つ人である.
* * *
2011年11月5日土曜日
224 不良金融 -1- (10/29)
エレイソン・コメンツ 第224回 (2011回10月29日)
差し迫った世界金融の崩壊,もしくは,その崩壊が意図した世界政府設立に向けた世界金融の到来(原文 “…the advent of global finance on the way to global government which that collapse has been designed to bring on, …” )という局面を見て人々は「一体どうしてこんな混乱に陥ったのか,どうしたらそこから脱出できるのだろうか? 」と考えさせられることでしょう.もし全能の神がこのような深刻な危機に一役買っておられるのだとすれば,神は当然事態をあまり深刻には受け止められず,心地よい日曜日の気晴らし程度にお考えでしょう.だが反対に,中世の教会を建築した人たちが明らかに考えたように,神がこの危機に重要な役割を果たしておられるとすれば,神を無視することは今日のように金融が現実を打ち負かせていること(原文 “today’s triumph of finance over reality” )に大きな役割を果たしていることになるでしょう.
今日の災難がどこから始まったかを理解するには,どうしても中世時代に遡(さかのぼ)る必要があります.中世の絶頂期以降にカトリック教の信仰が低下し始めるとともに,人々は生活のもう一つの大きな動機付けである富( “Mammon”,かね)への関心を募(つの)らせるようになりました(マテオ聖福音書6・24)(訳注後記).かくして,財貨およびサービスの交換で召使("servant",使用人)の役をするはずのお金が,その本来の性質を離れ,世界経済の主("master",あるじ,主人)である近代金融へと姿を変えてしまいました.このプロセスの中で,あらゆる分野で山のように膨(ぼう)大な支払い不能な負債が発生したり,世界を目に見える銀行もしくはそれを陰で操(あやつ)る目に見えない管理者たちの奴隷にしていますが,ここでカギとなる役割を果たしているのは中世以降に広まった小額準備金銀行(原文: “fractional reserve banking” )制度です.
お金が経済に役立つとなると,賢明な国家は流通するお金の全体量を自国経済で交換される財貨の全体量に合わせて上下させ,お金の価値が安定するように努めます.財貨の供給が少ないのにお金が多すぎればインフレによってお金の価値は下がります.逆に,財貨供給が多いのにお金の流通量が少なすぎると,デフレでお金の価値が上昇します.どちらになっても,お金の価値が変動し財貨の交換を不安定なものにしてしまいます.さて,預金者がお金を預ける銀行はどう行動するでしょうか.現金( “real money” )のわずかな部分だけを準備金として残し,はるかに大量の流通紙幣( “paper money” )を支えればいいと考えます.そして,流通紙幣の量を増減させることによってお金の価値を操作し,安いお金を貸し出し高いお金の返済を求めて大金を儲けます.このようにして金融業は国家から支配権を奪うことが可能になります.
もっとひどいことに,小額準備銀行システムで銀行がお金を実社会から切り離し,それを意のままに変える( “fabricate”.=でっち上げる,ねつ造する)ことができ,さらに保有するおかしなお金( “funny money” )にわずかなりとも複利をかけることができるとすれば,経済からあらゆる実価値( “real value” )を吸い上げることが理論的に可能ですし,実際にそのように行動します.銀行は預金者を借り手に,大半の借り手を絶望的な借金奴隷,住宅ローン奴隷に陥(おとしい)れ,自らの利益のために金の卵を産むガチョウを完全に殺さない程度(ていど)に面倒を見るだけです.神の啓示を受けた律法(神授の法)授与者モーゼの知恵は,全ての貸し手の権限を抑(おさ)えるため負債はすべて7年ごとに棒引(ぼうび)きにする(第二法〈申命〉書 15・1-2参照),あらゆる資産は50年ごとに元の持ち主に戻す(レビ書15・10参照)こととする,と定めました! (訳注後記)
偉大な神の人であり神よりの深い霊性を湛(たた)えたモーゼが,このように物質的な諸問題にまで関心を寄せたのはなぜでしょうか? それは,荒廃した経済が人々を絶望に追いやり,神から引き離し地獄に向けさせるからです - 今日,それより明日がどうなるかあなたの周(まわ)りを見渡してください - 経済がうまくいけば,拝金主義( “worships Mammon” )などが幅をきかせない賢明な繁栄が可能になり,人々が神の善意を信じ神を崇拝し愛することがもっと容易になるでしょう.人はしょせん霊魂と肉体から成るものなのです.(訳注後記)
モーゼならきっと小額準備銀行システムなど粉砕(ふんさい)したでしょう.ちょうど彼が金の子牛 “Golden Calf” をこなごなに砕(くだ)いたように.(訳注後記)
キリエ・エレイソン.
英国ロンドンにて.
リチャード・ウィリアムソン司教
* * *
第2パラグラフの訳注:
新約聖書・マテオによる聖福音書:第6章24節
* * *
第4パラグラフの2つの訳注:
①旧約聖書・第二法の書:第15章1-2節
②同・レビの書:第15章10節
* * *
第5パラグラフ最後の訳注:
「人はしょせん霊魂と肉体から成るものなのです.」について.
人間は霊魂だけでなく,身体も一緒にかかえて生きているので,生きていく為には実生活面(経済)のケアも必要なのだ,という意味合い.
→主祷文〈主の祈り〉から…
・「…我らの日用の糧を今日我らに与え給え.」…経済面のケア
・「我らが人に赦すごとく我らの罪を赦(ゆる)し給え.我らを試みに引き給わざれ.我らを悪より救い給え.」…霊魂のケア
→新約聖書・マテオ聖福音書:第6章24-33節参照.
(31節から〈33節…太字〉)
『…何を食べ,何を飲み,何を着ようかと心配するな.それらはみな異邦人(=不信心な人)が切に望むことである.天の父はあなたたちにそれらがみな必要なことを知っておられる.だから,まず神の国とその正義を求めよ.そうすれば,それらのものも加えて与えられる.明日のために心配するな.明日は明日が自分で心配する.一日の苦労は一日で足りる.』
* * *
第6パラグラフの訳注:
「金の子牛 “Golden Calf” 」について:
旧約聖書・脱出の書:第32章を参照.
(エジプトを脱出してきたイスラエルの民は,預言者モーゼの留守中に金の子牛をつくり祭壇を設けてその鋳物の子牛を民を導く神として拝んだ.)
* * *
引用されている聖書の箇所は後から追加いたします.
* * *
差し迫った世界金融の崩壊,もしくは,その崩壊が意図した世界政府設立に向けた世界金融の到来(原文 “…the advent of global finance on the way to global government which that collapse has been designed to bring on, …” )という局面を見て人々は「一体どうしてこんな混乱に陥ったのか,どうしたらそこから脱出できるのだろうか? 」と考えさせられることでしょう.もし全能の神がこのような深刻な危機に一役買っておられるのだとすれば,神は当然事態をあまり深刻には受け止められず,心地よい日曜日の気晴らし程度にお考えでしょう.だが反対に,中世の教会を建築した人たちが明らかに考えたように,神がこの危機に重要な役割を果たしておられるとすれば,神を無視することは今日のように金融が現実を打ち負かせていること(原文 “today’s triumph of finance over reality” )に大きな役割を果たしていることになるでしょう.
今日の災難がどこから始まったかを理解するには,どうしても中世時代に遡(さかのぼ)る必要があります.中世の絶頂期以降にカトリック教の信仰が低下し始めるとともに,人々は生活のもう一つの大きな動機付けである富( “Mammon”,かね)への関心を募(つの)らせるようになりました(マテオ聖福音書6・24)(訳注後記).かくして,財貨およびサービスの交換で召使("servant",使用人)の役をするはずのお金が,その本来の性質を離れ,世界経済の主("master",あるじ,主人)である近代金融へと姿を変えてしまいました.このプロセスの中で,あらゆる分野で山のように膨(ぼう)大な支払い不能な負債が発生したり,世界を目に見える銀行もしくはそれを陰で操(あやつ)る目に見えない管理者たちの奴隷にしていますが,ここでカギとなる役割を果たしているのは中世以降に広まった小額準備金銀行(原文: “fractional reserve banking” )制度です.
お金が経済に役立つとなると,賢明な国家は流通するお金の全体量を自国経済で交換される財貨の全体量に合わせて上下させ,お金の価値が安定するように努めます.財貨の供給が少ないのにお金が多すぎればインフレによってお金の価値は下がります.逆に,財貨供給が多いのにお金の流通量が少なすぎると,デフレでお金の価値が上昇します.どちらになっても,お金の価値が変動し財貨の交換を不安定なものにしてしまいます.さて,預金者がお金を預ける銀行はどう行動するでしょうか.現金( “real money” )のわずかな部分だけを準備金として残し,はるかに大量の流通紙幣( “paper money” )を支えればいいと考えます.そして,流通紙幣の量を増減させることによってお金の価値を操作し,安いお金を貸し出し高いお金の返済を求めて大金を儲けます.このようにして金融業は国家から支配権を奪うことが可能になります.
もっとひどいことに,小額準備銀行システムで銀行がお金を実社会から切り離し,それを意のままに変える( “fabricate”.=でっち上げる,ねつ造する)ことができ,さらに保有するおかしなお金( “funny money” )にわずかなりとも複利をかけることができるとすれば,経済からあらゆる実価値( “real value” )を吸い上げることが理論的に可能ですし,実際にそのように行動します.銀行は預金者を借り手に,大半の借り手を絶望的な借金奴隷,住宅ローン奴隷に陥(おとしい)れ,自らの利益のために金の卵を産むガチョウを完全に殺さない程度(ていど)に面倒を見るだけです.神の啓示を受けた律法(神授の法)授与者モーゼの知恵は,全ての貸し手の権限を抑(おさ)えるため負債はすべて7年ごとに棒引(ぼうび)きにする(第二法〈申命〉書 15・1-2参照),あらゆる資産は50年ごとに元の持ち主に戻す(レビ書15・10参照)こととする,と定めました! (訳注後記)
偉大な神の人であり神よりの深い霊性を湛(たた)えたモーゼが,このように物質的な諸問題にまで関心を寄せたのはなぜでしょうか? それは,荒廃した経済が人々を絶望に追いやり,神から引き離し地獄に向けさせるからです - 今日,それより明日がどうなるかあなたの周(まわ)りを見渡してください - 経済がうまくいけば,拝金主義( “worships Mammon” )などが幅をきかせない賢明な繁栄が可能になり,人々が神の善意を信じ神を崇拝し愛することがもっと容易になるでしょう.人はしょせん霊魂と肉体から成るものなのです.(訳注後記)
モーゼならきっと小額準備銀行システムなど粉砕(ふんさい)したでしょう.ちょうど彼が金の子牛 “Golden Calf” をこなごなに砕(くだ)いたように.(訳注後記)
キリエ・エレイソン.
英国ロンドンにて.
リチャード・ウィリアムソン司教
* * *
第2パラグラフの訳注:
新約聖書・マテオによる聖福音書:第6章24節
* * *
第4パラグラフの2つの訳注:
①旧約聖書・第二法の書:第15章1-2節
②同・レビの書:第15章10節
* * *
第5パラグラフ最後の訳注:
「人はしょせん霊魂と肉体から成るものなのです.」について.
人間は霊魂だけでなく,身体も一緒にかかえて生きているので,生きていく為には実生活面(経済)のケアも必要なのだ,という意味合い.
→主祷文〈主の祈り〉から…
・「…我らの日用の糧を今日我らに与え給え.」…経済面のケア
・「我らが人に赦すごとく我らの罪を赦(ゆる)し給え.我らを試みに引き給わざれ.我らを悪より救い給え.」…霊魂のケア
→新約聖書・マテオ聖福音書:第6章24-33節参照.
(31節から〈33節…太字〉)
『…何を食べ,何を飲み,何を着ようかと心配するな.それらはみな異邦人(=不信心な人)が切に望むことである.天の父はあなたたちにそれらがみな必要なことを知っておられる.だから,まず神の国とその正義を求めよ.そうすれば,それらのものも加えて与えられる.明日のために心配するな.明日は明日が自分で心配する.一日の苦労は一日で足りる.』
* * *
第6パラグラフの訳注:
「金の子牛 “Golden Calf” 」について:
旧約聖書・脱出の書:第32章を参照.
(エジプトを脱出してきたイスラエルの民は,預言者モーゼの留守中に金の子牛をつくり祭壇を設けてその鋳物の子牛を民を導く神として拝んだ.)
* * *
引用されている聖書の箇所は後から追加いたします.
* * *
2010年12月23日木曜日
資本主義の展開
エレイソン・コメンツ 第179回 (2010年12月18日)
社会は利己主義によっては成り立ちません.今は誰かが社会で自分の要求を通したいときには基本的にその人の持つ金銭にものを言わせる時代です.仮に経済用語以上の意味で,資本主義をすべての国民が望み通りに可能な限りの資本すなわち金銭を作れるような社会を組織する一手段であると定義するなら,資本主義は矛盾(むじゅん)に満ちたものとなります.その場合の資本主義は,誰もがみな利己的になるよう仕向けることで利己主義を要求する社会を作ろうとしていることになるからです.
こういうわけで資本主義は,その資本主義者社会の構成員たちが前資本主義者的価値観,たとえば常識,金銭追求にあたっての節度,公益の尊重などを持ち続ける限りにおいてだけ存続できます.そうでなければ,(上に定義したような利己的な)資本主義は構成員個々にとって不利に働きます.利己主義は無私無欲に反する働きをするからです.その場合,資本主義は寄生生物であり,前資本主義者的価値観の働く社会的身体に寄生して徐々に母体を蝕(むしば)み弱体化させていくのです.
金銭追求の上に築き上げられた社会に内在する矛盾は,世界金融,世界経済の現況の下で壊滅(かいめつ)的な結果に至っています.とくに第二次世界大戦が終わっていらい世界の人々は,かつて生きる目的を与えてくれた精神的な充足より今では物質的な充足を優先させ,ますます金銭追求を強めています.金銭を称賛し追求する人々は,投資家たちが自分たちの社会で権力を振るうことを喜んで許してきました.称賛され引っ張りだこになった投資家たちはますます金銭,権力の追求に熱中してきました.結局のところ,金銭,権力がさらに多くを得ようとするとき,それを抑制するどのような歯止めがそこに内在しているでしょうか?そんなものは何もありません.銀行家たちは紛れもない悪党へと変貌(へんぼう)してしまっているのです.
そういうわけで,たとえば,10年か15年前に考案された「デリバティブ」は,それを提供する銀行屋たちに手数料でひと財産築かせることはあっても,大量破壊兵器のように世界金融の精巧なメカニズムを壊す作用をする金融商品です.なぜならこの金融商品は巨額で返済不能な負債をいとも簡単に造り上げるからです.返済不能な負債で安定を失った詐欺(さぎ)的な世界では,各国政府が次々にどこからともなく大量の「金銭」をひねり出し,その負債を「支払う」ことで見せかけの秩序を維持しています.だが,このような処理の仕方は当該通貨のあらゆる有用性を空にしてしまうインフレに終わるだけです.かくして世界のあらゆる紙幣と電子マネーは - もう長年もの間それ以外にない状態ですが - 今や終焉(しゅうえん)を迎えています.
だが,通貨と社会の関係は潤滑油(じゅんかつゆ)とエンジンの関係に似ています.潤滑油なしでは,エンジンは故障し使い物にならなくなってしまいます.社会で通貨がなければ(物資・サービスの)交換はずっと困難になり商業は減速し行き詰まってしまうでしょう.もしこのような理由で食糧運搬トラックが走れなくなり食料不足が起きたら,とりわけ大都市で,政治家たちはどうやって食糧暴動を回避し農民たちが熊手を手に追いかけてくるのを食い止めることができるでしょうか?戦争を始めるしかありません!
第三次世界大戦もさほど遠くないことかもしれません.主よ,憐れみ給え!
キリエ・エレイソン.
英国ロンドンにて.
リチャード・ウィリアムソン司教
社会は利己主義によっては成り立ちません.今は誰かが社会で自分の要求を通したいときには基本的にその人の持つ金銭にものを言わせる時代です.仮に経済用語以上の意味で,資本主義をすべての国民が望み通りに可能な限りの資本すなわち金銭を作れるような社会を組織する一手段であると定義するなら,資本主義は矛盾(むじゅん)に満ちたものとなります.その場合の資本主義は,誰もがみな利己的になるよう仕向けることで利己主義を要求する社会を作ろうとしていることになるからです.
こういうわけで資本主義は,その資本主義者社会の構成員たちが前資本主義者的価値観,たとえば常識,金銭追求にあたっての節度,公益の尊重などを持ち続ける限りにおいてだけ存続できます.そうでなければ,(上に定義したような利己的な)資本主義は構成員個々にとって不利に働きます.利己主義は無私無欲に反する働きをするからです.その場合,資本主義は寄生生物であり,前資本主義者的価値観の働く社会的身体に寄生して徐々に母体を蝕(むしば)み弱体化させていくのです.
金銭追求の上に築き上げられた社会に内在する矛盾は,世界金融,世界経済の現況の下で壊滅(かいめつ)的な結果に至っています.とくに第二次世界大戦が終わっていらい世界の人々は,かつて生きる目的を与えてくれた精神的な充足より今では物質的な充足を優先させ,ますます金銭追求を強めています.金銭を称賛し追求する人々は,投資家たちが自分たちの社会で権力を振るうことを喜んで許してきました.称賛され引っ張りだこになった投資家たちはますます金銭,権力の追求に熱中してきました.結局のところ,金銭,権力がさらに多くを得ようとするとき,それを抑制するどのような歯止めがそこに内在しているでしょうか?そんなものは何もありません.銀行家たちは紛れもない悪党へと変貌(へんぼう)してしまっているのです.
そういうわけで,たとえば,10年か15年前に考案された「デリバティブ」は,それを提供する銀行屋たちに手数料でひと財産築かせることはあっても,大量破壊兵器のように世界金融の精巧なメカニズムを壊す作用をする金融商品です.なぜならこの金融商品は巨額で返済不能な負債をいとも簡単に造り上げるからです.返済不能な負債で安定を失った詐欺(さぎ)的な世界では,各国政府が次々にどこからともなく大量の「金銭」をひねり出し,その負債を「支払う」ことで見せかけの秩序を維持しています.だが,このような処理の仕方は当該通貨のあらゆる有用性を空にしてしまうインフレに終わるだけです.かくして世界のあらゆる紙幣と電子マネーは - もう長年もの間それ以外にない状態ですが - 今や終焉(しゅうえん)を迎えています.
だが,通貨と社会の関係は潤滑油(じゅんかつゆ)とエンジンの関係に似ています.潤滑油なしでは,エンジンは故障し使い物にならなくなってしまいます.社会で通貨がなければ(物資・サービスの)交換はずっと困難になり商業は減速し行き詰まってしまうでしょう.もしこのような理由で食糧運搬トラックが走れなくなり食料不足が起きたら,とりわけ大都市で,政治家たちはどうやって食糧暴動を回避し農民たちが熊手を手に追いかけてくるのを食い止めることができるでしょうか?戦争を始めるしかありません!
第三次世界大戦もさほど遠くないことかもしれません.主よ,憐れみ給え!
キリエ・エレイソン.
英国ロンドンにて.
リチャード・ウィリアムソン司教
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